私はお喋りが苦手だ。もしかしたら嫌いなのかもしれない。ところ構わず口を開けてぺらぺらと言葉を繋ぐことが私にはうまく出来ない。だから普段はあまり喋らない。けれど私の隣にいるソイツは無駄にお喋りだ。四六時中ずっと。黙ったら死ぬんじゃないかというほどよく喋る。



「それでね、彼が言ったの。君は僕とソイツとどっちをとるんだよって!女の子みたいね!アハハっ、男の子なのに女の子!」
「言うやつもいるんじゃないの。意外と女性的な部分も持ってたり」
「男の子なのに女性的!?じゃあアタシはそんな珍種を相手にしてたの?アハハっ」



メグはお喋りだ。黙ったら死ぬ勢いすら感じる。そんな私と正反対なやつなのにずっと一緒にいるのを回りのやつらはいつも不思議そうに見ていた。確かどうしていつもメグと一緒にいるのかと聞かれたことがある。そんなもの私が教えてもらいたいくらいだったがそこは素直に分からないとだけ伝えた。



「ねぇミク!今度二人で出かけない?」
「今も出かけてるって」
「家の近くなんかじゃなくて!何なら海とか山とか、いっそ海外に行ってみようよ!二人きりで!」
「それって」



まるで駆け落ちじゃないか。そう言おうとしてすぐ口を閉じる。なんでそんなことを考えたんだ。理由は決まっている。私とメグが恋人同士だからだ。けれど何故駆け落ちなどと考えたのか。どこか遠い知らないところに二人で逃げてしまいたかったのだろうか。



「ねぇ、まるで駆け落ちみたいだね!」
「そう、だね」
「素敵じゃない?愛し合う二人が知らない土地で新たな生活を始める!うん、とっても素敵!」



まるで私の心の中を見透かしたような物言いがちょっとしゃくに触ったので憂さ晴らしにメグのお喋りな口を塞いだ。





嗚呼、糞、好き




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ちょっとおかしなふたりがかきたかったんです






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