しげるが女の子!
もうなんかよく分からないけど学パロ!










ふと窓の外を見ると暗い色をしていた。朝からいい天気にはならないだろうと思っていたが、もしかしたら雨が降ってきてしまうかもしれない。念のためと部屋干しを選択してよかった。やっぱりアイツの言うことは信用出来るなと思う。
制服のポケットでブルブルと携帯が震えた。なんだろうと思えば、しげるからだ。



『買い物、行きますか?』



短い、たぶん素っ気ないだろうメール。それでも俺は驚かないし素っ気ないとも思わない。俺だってこういうメールしか打たないし。
そういえば、今朝冷蔵庫の中が何も無い状態になりかけていた。あったのは少しの野菜とお茶と牛乳。冷凍の肉も昨日の夕飯と今日の弁当に消えたから、買いに行かなければならない。そういう会話を、朝飯の時に話したのを思い出す。
俺は正直自炊はしない。しないというか、苦手だ。簡単な目玉焼きや野菜炒めしか作れない。自炊はほとんどしげるの仕事で、だからしげるが買い物をする。俺はその荷物持ち。しげるはまだ中学に入ったばかりだし、女だし重いものを持たせるのには抵抗がある。それに飯を作ってもらっているのだから何かしなければ申し訳ない。



『行くか。お前何時に終わる?』



送信。ちなみに今は授業中だ。それでも注意されないのは先生が黒板と睨めっこをしながらわけの分からない数式を書いているから。ノートは後で他のやつに借りる。机の上の教科書やノートはただのポーズだ、一応先生に失礼の無い程度のポーズ。
ブルブルと携帯が震えた。



『今、ホームルーム。カイジさんは?』



そういえば中学と高校では終わる時間が違うのだ。時計を見ると授業中が終わるまで30分。ホームルームを合わせると40分というところか。



『俺はあと40分くらい。先に帰るか?』



送信。たぶんしげるの方はもう教室を出る辺りだろう。
ブルブルと携帯が震えた。



『いい、待ってる。40分したら下駄箱に行くから』



中学の校舎と高校の校舎は隣同士だからそんなに距離は無いだろし、たぶんその40分をしげるは図書館で過ごすだろうから心配はない。



『分かった。なるべく早く行くから』



送信。静かに携帯を閉じた。
ノートに先生が大事だと言った公式を説明も聞かず写す。だいたい数学も暗記科目だし、分からないなら聞くまでだ。
視界の隅にふと何かが入りシャーペンを止める。隣には窓。外を見ると雨がちらちらと降っていた。時計はメールから30分が経っていて、チャイムが鳴る。
ホームルームの間、鞄に教科書とノートと筆箱を入れた。べつに入れなくてもいいのだけれどしげるもいる手前、形だけでも取った方がいい。いわゆる見栄だがそれでも少しだけ教科書やノートを開くから問題は無いはずだ。
教室を出てすぐにブルブルと携帯が震えた。



『今、下駄箱。傘ある?』



メールで気づいたが、傘が無い。どうしたものかと思ったが下駄箱に急ぐ。下駄箱にはしげる以外誰もいない。
しげるは俺の靴が入っている下駄箱のすぐ真下にしゃがんでいた。手には鞄と一冊の本。その本をちょうど鞄に入れるところだった。



「走って来なくてもよかったのに」
「いや、待たせるのもあれだし……あ、俺傘持ってないぞ」
「一応、私はあるけど」



立ち上がったしげるの手には一本の折り畳み傘があった。水色の、シンプルなデザイン。しげるらしいと言ったららしいが、俺は赤いのも似合いそいだと思った。
外を見てみたがそれほど酷い雨じゃない。これなら俺は傘が無くても大丈夫だと思ったが、一足先に下駄箱から出たしげるが傘をさしながらこちらを見る。



「はい、カイジさん」
「ん?」
「濡れるでしょ?隣、来て」



懸命に腕を伸ばして俺の頭よりも上に傘を持ち上げるしげるを見て、なんだかんだで優しいのだと思った。しげるから傘を取り、二人の間にさす。
なるべくゆっくりと歩きながら校門を出た。



「どうする?一回帰るか?」
「面倒だから、このまま行こう。濡れても平気だし」



しげるは指であっちに行こうと言った。その方向は家の方向だが、左に曲がってスーパーに寄るということだろう。学校からなら家よりスーパーの方が近い。
歩きながら傘をしげるの方に少しずらす。いくらまだ暑くても体を濡らすのはよくない。育ち盛りのしげるなら尚更だ。俺はズボンだから足は濡れないが、しげるはスカートだ。きっと跳ねた水が冷たいと思う。だからと言って足元の水を俺は防げない。だからせめて、と上は濡らさないようにしたかった。
スーパーに着いて、傘を畳む。傘立てにどう置くか迷ったが、長さは開いたままの長さで、布のところは畳んで置いておくことにした。幸い傘は少なかった。
俺はカゴを手にしてしげるの後を歩く。野菜を一通りカゴに入れ、切れかかっていたドレッシングのことを思い出して一つを取る。和風かイタリアンかをしげるに聞けば和風を指さしたのでそっちをカゴに入れた。肉は鳥と豚をそれぞれ手に取った。どちらも冷凍するし、たぶん明日の弁当のおかずになるだろうと予想してみる。それからベーコンと卵。500mlのジュースを三本、種類はバラバラ。お菓子を少しカゴに入れて会計。
すべて量は少ない。二人分だし、無駄に買い過ぎるのもよくないからだ。しげるは生活費用の財布から会計分の3684円を取りだして、俺はカゴをレジの向こう側にある台に持っていく。しげるから受け取った、使い古したレジ袋に重たいものから中にいれていった。
外に出ると雨は少しだけ強くなっていて、折り畳み傘は他の傘の中に埋もれていた。折り畳み傘を見つけ出し、家に向かう。



「カイジさん、レジ袋持つよ」
「重たいからいいって」
「傘も、持ってるのに……」
「……なら、鞄持ってくれ。ちょっと邪魔だしな」
「分かった」



俺の、たいして中が入っていない鞄をしげるは両手で抱えるように持って歩く。中に入っているのは数学の教科書とノートと筆箱、あと空の弁当箱だけ。そんなたいした物は入っていないのだから、そんな風に大切に持たなくてもいいと思うのだが。家に帰るまで適当な話をして歩いていく。なるべくゆっくりと歩いて、たくさんの話しをする。授業でこんなことをやったとか、しげるが借りた本のこと、携帯を内緒で使うときどうしたらバレないか、その先生をよく中学で見かけるとか、とにかく適当にだらだらと。
気付けばアパートのすぐ目の前だった。借りている部屋は二階だ。屋根のある階段の手前で傘を畳み、薄い鉄の階段を上がっていく。



「カイジさん」
「どうした?」
「ありがとう、ね。荷物と、傘」



鍵を開けて入るしげるにばれていたのかと恥ずかしくなったが、どういたしましてと言いながら俺も部屋に入った。





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何が書きたかったのかというとカイジとしげるが同棲してる話が書きたかった。
しげるはカイジさんの家で預けられてる設定です。何で?とか野暮なこと聞かないで!趣味ですから!
超パラレルですがもっと書きたいです。








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