背中を合わせて二人で座っているだけの空間はとても静かだ。聞こえてくるのは窓から入る外の音と二人で煙草を吸う息遣いだけ。静かだ、そんな感想しか思い付かない。ふと背中越しの体温が気になり始める。ああ、コイツも体温があるのだ。いつも涼しそうな顔をしていて肌も白くて普通の人より体温が低い印象しかなかったから、少し驚く。けれどコイツも、アカギも人間だ。悪魔だと言われていようと食べるし寝るし、ただの人間。煙草を灰皿に押し付けアカギを押し倒す。幸い煙草はアカギの指に挟まれていて床に落ちなかった。灰が少し落ちたようだが手で摘み灰皿に入れる。呆けたように俺を見るアカギの指から煙草を奪い、俺が吸っていた煙草と同じように灰皿に押し付けた。ジリジリと火が消える音が聞こえる。その音が消えた瞬間にアカギに口づけた。唇が触れて、また離れる。肘を床について、もう片方の手で頬と髪を撫でながら柔らかいなと思った。シャツの下を、髪を撫でたように撫でていく。決して細いわけじゃないし、女特有の柔らかさはない。それでも普通より少し細い線や硬さに胸は高鳴る。唇を合わせながら二人でお互いを高め合う。漏れる吐息はもちろん二人分、熱い吐息だ。ふとアカギの漏らす声がまるで歌っているようだと思った。余裕があるのかと思ったがこの姿からしてそれはない。ああもともとコイツはこうなのだと、俺は一人納得する。まるで歌っているかのようなその吐息にまた胸を高鳴らせてアカギに触れた。








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