意味もなく二人とも女の子ですので注意。









きっと私はあの人にはなれないのだと、まるで突き付けるように現実が襲ってくる。それは焼けるような炎のように熱く、刺すような氷のように冷たく、私の体と心をバラバラにするように。目を閉じても耳を塞いでも、あの人から遠ざかってもきっとその現実は私を追いかけてくる。



「どうした?」
「あ、」



白いシーツに同じ白くて長い髪が散らばる。髪を留めていた髪留めは、ベッドの下だ。私の髪とは正反対の色。シーツと同じ色なのにどうしてこんなに鮮やかなのだろう。ふとそんなことを考えていると赤木さんの手が私の頬を撫でた。決して若いわけではない赤木さんの手はとても柔らかく温かく、この手で数々のギャンブルに勝利してきただなんて思えない。でも、きっとそれがこの人の魅力でもあるんじゃないかとも思えた。私には、きっと一生理解出来ないのだろうけど。



「クク、なに固まってんだ」
「……いや、その」
「ま、戸惑うか」
「そんなんじゃ、ないです」



ぐっと赤木さんとの距離を詰めて、唇に触れた。柔らかいその唇に触れられたこの時が、夢でないのだと思わせるように頬を撫でたその手が私の首に回される。その手がとても優しくて、私はついに泣き出した。



「泣くなよ、どうしたってんだ」
「す、みませっ」



ポタポタと私の涙が赤木さんの頬を濡らしていく。白い肌はその涙を全て弾くように流れていった。きっとこの人は、私みたいにみっともなく泣かないに違いない。もっと大切な時に、たった一度しか泣かないのだ。そう思えば思うほど涙が止まらなくなった。私は赤木さんの胸に顔を押し付けて涙が止まるように願う。それでも止まらない涙に、私はただ苛立つだけだ。



「無理、しなくてもいいんだよ」
「し、てませ、ん」
「ならいいさ。けど、わざわざ自分を壊すことは進めない」



優しく頭を撫でてくれる手は、さっきと同じで温かくて柔らかい。ふと赤木さんの心音が聞こえてきた。私の心臓はうるさく音を立てているのに、赤木さんのはとても静かだ。ああ、私はこの人のようになれない。その現実が今確かにここにあって、私は泣くのを止めた。








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