人が怖いと思ったことはなかった。自分と同じものを怖がるのがどこかおかしな感じがしたからだろう。



「銀さん、どうかしました?」
「……いや、考え事だ」



ふわりと珈琲の香りが鼻を掠める。視線を向けると森田がマグカップを二つ持ち、俺の座っているソファーの傍まで来ていた。差し出された珈琲を受け取ると森田は寝不足ではないかと問い掛ける。平気だと返せば森田は隣に腰をかけた。



「本当ですか?」
「はは、心配するな。いつものことだ」
「……そのいつもが心配なんですけど」



さらりと髪を撫でられた。そのまま手は頬を撫で、首筋を撫で森田と俺は唇を合わせる。俺は撫でられる度に感じ、唇を合わせる度に感じるこの気持ちが分からない。まるで不安のような、恐れのような感覚。それでいて今までのどの時間よりも幸福でいられるような。何百億という金を一度に手に入れたよりも、もっと大きな満足感。何百億という金を集めていくよりも、もっと大きな欲。きっとこの気持ちに名前はあるのだろう。しかし、俺にその名前は分からない。



「森田……」
「はい」
「この珈琲、インスタントだな」
「……すみません」





人はそれをなんと呼ぶのだろう





----------

なんというか、私の中でのfkmtの受けキャラは愛とかそういうのを知らなさそうっていうだけの文。
そかし何故それを銀金でやったし。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -