突然目から涙が零れた。意味が分からずとりあえず涙を拭うが止まる様子はなかった。べつにどこか痛いわけじゃない。理由も無く泣き出すような人間だっただろうかと自分を振り返ってもみるが、やはり分からなかった。そうこうしているうちにカイジさんが買い物から帰ってきた。ただいまと言いながら靴を脱ぎ、最後に扉がゆっくりと閉じてバタンと鳴る。部屋にたどり着いたカイジさんは俺を驚いたような顔で見て、それからビニール袋を床に投げ捨て俺を抱きしめた。どうしてそんなことをするのか分からない。それでも抗うこともせず。カイジさんの好きにさせる。外は暗くなり始め、夕方五時を告げる放送が窓の外から聞こえてきた。いい加減放してほしいし夕飯の準備をしなくてはいけない。けれどカイジさんは離れなかった。そして、何故かカイジさんは泣いていた。どうしてか分からない。今泣いているのは俺で、カイジさんは泣いていなかったじゃないか。わざわざカイジさんが泣く必要はどこにもないのに、分からない。そこでふと思ったのだ。俺は分からないことが嫌で悲しくて苦しくてどうにも出来なくて泣いているのだと。





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書いといてあれだけどアカギは神域のときまで泣いてなさそうだよね。








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