坊ちゃんがお嬢さん注意!









あなたに出会わなければこんな思いを味わうこともなかったのに。



「なんだよ、それ」
「小説でよくありそうな出だし」



ベッドの上で私は読みかけの本を広げて、カイジは玄関のすぐ隣にあるキッチンで料理を作っている。ジュウジュウとなにかが焼ける音が聞こえてきた。いったいなにを作っているんだろう。



「ま、カイジは本なんて読まないだろうけど」
「うるせーよ……本当のことだから余計腹立つ」
「クク、本当にね」



部屋に散らばっている雑誌は、目に痛いくらいキラキラした色のパチンコ雑誌。他にもギャンブル系のものばかり。ちなみに、ベッドの下にはエロい水着を着たグラビア系よりちょっと過激な雑誌もある。頭の悪そうな部屋の本だ。



「でも、共感は出来るんだ」



だって、この言葉が言っていることは正しい。その人に合わなければ苦しいだとか辛いだとか、たまに嬉しいだとか楽しいだとかコロコロ気持ちを変える必要もないのだから。そう考えると舌がピリピリと痛みだした。それから胸が苦しくなって、膝を抱えるようにして座る。もう本を読む気力は無い。



「な、おい、どっか痛いのか?」
「べつに、違うよ。眠たいだけ」
「なんだよ、驚かせやがって……とりあえず飯食ってから寝ろよ、寝るなら」



小さなテーブルの上には焼きそばの乗った皿が二つ。それから箸とお茶の入ったコップが二つ。お揃いだと胸踊った自分の胸がキリキリと痛みだした。





ああ、これが恋なのですねお母様。





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毎度失礼女体化です。お嬢さんが好きすぎてつらい。
実はシリーズにしようとして挫折。
あと一つこれの続き書きたい。








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