一応学パロ。
九月某日、晴天。まさに体育祭日和である。
「だからってこんな晴れた日にやらなくても……」
「カイジさん、それもう四回目」
「いいじゃねぇか、言うくらい」
「そう何度も言われれば嫌になるよ」
グラウンドではちょうど綱引きが始まっていた。赤と白と青の旗が応援のためだろう、ばざばさと音を立てて揺らされている。そんな中俺は赤色の鉢巻きを首にだらし無くかけて、校舎の影から眺めていた。残念なことに校舎全体に鍵が掛けられていて中には入れない。そして俺の隣にはアカギがいる。同じ赤団なのに赤色の鉢巻きを持ってすらいない。
そんな俺達不良二人が何故校舎の影に居るのかというと、サボりだ。単純明解過ぎる理由。このくそ暑いなかわざわざ汗水垂らして運動なんかしたくない。そもそも運動なんかしなくても今まさに汗をかいているのだ。長めの髪は一応結ってあるが、やはり暑い。汗が顔や首や背中と流れ、ついに全身汗まみれだ。
「あっつ……」
「カイジさんしつこい」
「だってお前、暑くないのかよ」
「暑いに決まってるでしょ」
ふとアカギを見てみると、なんとも涼しそうな顔だ。もともとあまり顔に出さない、いわゆるポーカーフェースだから余計涼しそうに見えてしまう。
しかし顔や首筋にうっすらとだが汗を見つけた。やはり人の子、汗はかくか。それでも、俺は汗をかくアカギに驚いていた。それについてアカギに言うとたぶんからかわれたり厭味を言われたりするだろうから口にしないが。
「なに、カイジさん」
「へ?」
「人のことずっと見てるからさ。顔に何かついてる?」
「あ、あー…いや、なんつーか、その、暑いから水飲みに行こうかと思って」
「ふーん、そう。なら、俺も付き合おうかな」
「あ、ああ!」
それにしたって、どうして俺はアカギの汗にそんな過剰反応をしたのだろう。とりあえず、俺達は水を飲みに歩き出した。
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汗をかくアカギが書きたかったのに何故こうなったし。