「暑いのに外でチョコレートを食べるなんて変わっていますねスプレンディドさん」
「やあフリッピーさん久しぶりだね」



公園のベンチで座っているとフリッピーさんが声をかけてくれた。彼が言うように僕の手にはストロベリーチョコレートがありもう片方の手にはオレンジジュースが握られている。チョコレートを食べてオレンジジュースを飲むととてもすっぱいが癖になるのだ。



「暑い中チョコレートを食べるのも悪くありませんよ?」
「冬に食べるアイスみたいなものですか?」
「僕はお腹が痛くなりますから冬にアイスは食べません」



オレンジジュースを飲みながら彼に座るよう促す。改めて彼を見ると買い物をしていたのか大きな紙袋を持っていた。もっと早くに気づくべきだったと反省する。彼はお礼を言いながら僕の隣に座った。彼と僕の間には僕の飲みかけのオレンジジュースだけの距離が空く。



「一口如何です?ジュースでもチョコレートでも」
「ならジュースを貰ってもいいですか?」
「チョコレートは?」
「スプレンディドさんの手の平で溶けています」



彼は僕のオレンジジュースを一口飲む。間接キスと言われるものだがべつに恥ずかしいとは思わない。オレンジジュースの入れ物にはたくさんの水滴がついていた。たしかに暑い。そして僕のストロベリーチョコレートは手の平でどろどろと溶けていた。最早元の形が分からなくなるほどに。ピンク色をしたストロベリーチョコレートはただの液体に成りつつある。



「どうかしましたか?チョコレートをそんなに見つめて」「……なんでもありません」



べろりと手の平のストロベリーチョコレートを舐めた。温く生暖かいストロベリーチョコレートは相変わらず甘い。そして僕はふとそのピンク色のストロベリーチョコレートが臓物の色に思えたのだ。普通臓物はもっと赤黒いような橙と赤が混ざったような色をしている。しかし僕は前に一度だけ見た彼の臓物の色と同じだと感じたのだ。彼の臓物はとても綺麗な色だった。まるでこのストロベリーチョコレートのように。きっと彼の臓物はとても甘いのだと思う。



「フリッピーさん」
「なんですか?スプレンディドさん」
「今度一緒にピクニックに行きませんか?もちろん皆さんと一緒に」





ストロベリーチョコレートの誘惑








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