「似てんだよな」
「何がです?」
「お前が」
「えぇ?」



天は意味が分からない、というような顔をして声をあげた。そりゃそうだ。突然似てる、と言われても困るだけだ。



「何に似てるんです?」
「あー…なんだろうな」
「ちょ、なんですか、それ!」
「ははは、悪い悪い」



思い出せない。ずいぶんと昔のこと、ということ以外は。懐かしいのだ。天と、何かは分からないがそれと似ていて何かをふと感じた。そう、似ている。



「アカギ、飯出来たぞ」



差し出された夕飯類は全て出来立て、といわんばかりに湯気が出ていた。あたたかく、一目で美味そうだと分かる。こんな餓鬼に、もったいないなと思いながら箸をつけた。



「どうだ?」
「美味しいですよ」
「そうか!ならよかったよ」



あたたかい、それだけがこの空間を埋めていた。自分にはもったいないような、あたたかさ。得体の知れない自分を家に上げて、しかも夕飯を振る舞うなんて。不思議だし変わっていると思ったけど、嫌じゃなかった。



「なぁ、アカギ。またこうして夕飯食べたかったら来いよ。お前育ち盛りなんだから、しっかり食わないと」
「ふふ、まるで母親みたいだね」
「おちょくるなよ。ま、なんもない家だけどな」
「ううん。ありがとね、」



駄目だ、思い出せない。ただ一つ、それは人だった。きっと忘れてはいけない記憶だったはずだ。それなのに、どうして忘れていってしまうのだろう。



「……ねぇ、アカギさん」
「ん?」
「とりあえず、家でご飯食べません?腹が減ってるから調子おかしいんですって!」
「……はは、そうかもな」
「ふぐばっか食べてたら栄養偏りますから、ね?」



そういえば、前にもこんなことがあったはずだ。もっと食べろとか、言われた気がする。それがずいぶんと昔のことで、誰に言われたか分からないけれど。



「アカギ、たくさん食べろよ」
「そんなに食べれないよ」



いつかまた思い出せるときが来ればいい。今は、天の家で飯を食べることにしよう。きっと酒ばかり飲むだろうけど。





あたたかいご飯を食べよう





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私の中で南郷さんと天はなんだか似てる感じがします。
ていうか脳内で天の声をイメージすると南郷さんいなる罠。
でもたぶん赤木さんは一生南郷さんのこと忘れないと思うよ!








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