へらへらと笑いながらこちらを見ている鉄平が少し不愉快だと思いながら山になるほど積み上げられた食材に手を伸ばす。肉に魚に野菜にお菓子。とにかく、たくさん。テーブルから溢れ床にまで広がるその食材の山に手を伸ばしひたすら口に放り込む。



「……なぁ」
「ん?」
「さっきから、何こっち見てんだよ」


椅子に腰掛け自分で持って来ただろうクッキーを摘んでいる鉄平に我慢ならず声をかける。もちろん食べる手は休めない。休めばあっという間に倒れてしまう。鉄平は何を勘違いしたのか俺にクッキーを差し出し食べるか?と一言。目の前の食材を前にそれを言うのかと半ば呆れながら肉を平らげて残った骨を投げつける。見事なまでに骨は鉄平の額にぶつかった。



「いって」
「質問に答えろっての」
「だからって食べカスを投げることはないだろ」



うっすらと赤くなった額を摩る鉄平がマヌケに見えてくすくすと笑った。俺が原因なのだけれどそこは気にしない。ため息をついた鉄平は椅子から立ち上がり俺に足を向ける。次は魚の塩焼きに手を伸ばし頭からかじりつく。焼けた塩の香りと白身だが油の乗った身に食べることが止められない。骨も柔らかくそのまますべて平らげた。次はと手近にあったショートケーキを手に掴む。



「いやさ、可愛いと思って」
「……ついに頭いかれやがったか」



一口でショートケーキを平らげてお次はチョコレートケーキを口に入れた。ショートケーキよりも甘味は少ないチョコレートケーキはチョコの香りとコクが深くてなんとも美味い。同じように一口で平らげてまた肉に手を伸ばす。それにしてもなんて馬鹿なことを口にするのかと呆れた。本来可愛いという言葉は俺みたいな奴に使う言葉じゃない。例えば、あのウォールペンギンとかに使うのがいい例だ。



「その、なんだ。不謹慎かもしれないけど」



俺の隣まで来ていた鉄平がそっと左肩に触れた。そのまま腕が無くなるところまでゆっくりと撫でる。少しばかりくすぐったく止めろと言うが鉄平は聞いていないのか撫でる手を止めない。



「ただひたすら食べて食べて、食べ続けてるのがさ。なんか、一人じゃ何も出来ない感じ……すごく、そそる」








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