心はあげられないから体をあげたいのだとアカギは言った。白い学生服から覗く腕は同じように白い。黒いスカートからは正反対の白い足が覗く。その細い手足を捧げるのだとアカギは言った。手足だけじゃない、顔や腹もその全て。文字通り体だった。
「心はくれてやらないのか」
「心は……予約してあるから」
そう言って一つボタンを外す。色気なんてものは無いはずだがそれがアカギだというだけで男は皆唾を飲む。単純だと言われようとそれが事実なのだ。
「あの優男か?」
「違うよ。心をあげるのはずっと先のことだけど、予約しておいた方が確実だろうし」
白いシャツが床に落ちる。ぱさりと乾いた音のあとに、スカートのボタンとファスナーを下ろす音が聞こえた。二つ目の乾いた音のあと、背中にアカギの体重がかかる。本気なのかからかっているのかは分からない。それでも俺とアカギ以外に人影はなく、助けを呼んでも意味が無い状態。最もアカギの口から助けを求める言葉を聞けるなんて思ってもいない。
「心は、私のだから。ずっと先、死ぬまでずっと。だから誰にもあげられない」
そう言ったアカギはするりと俺の首に腕を回す。顔は見えないがきっと満面の笑みを浮かべているに違いない。
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何故か矢木さん。
何故か女体化。
優男は言わずもがな南郷さん。