(拓南の場合)

「おはようございます南沢さん!」
「ああ」げっそり
「…腕、大丈夫ですか、持てますか、それ」
「お前もな、って言いたいけれど、案外貰っていないな」
「ああ、頂き物は逐次家の者に持ち帰りさせてますので」
「………」
「はい、南沢さん、チョコです」
「ああ、ありがとう…腕下ろせないから、右手の袋に入れて」
「それより、今日はどうしますか?」
「は?いや、どうって何も」
「えっ、俺のぶんのチョコは…」
「(忘れてた)…昼休みな」
「ほんとですか!やった、じゃあまた昼休みに!」
「(………チロルでいいだろうか)」


(14風鬼の場合)

「…風丸」
「あ、はい」
「ちょ」
「ちょ?」
「チョコ、を、だな」
「あ、うん、ありがとう…」
「照れるな。こちらまで照れる」
「ううん。俺嬉しいんだ、今までこんなにバレンタインチョコが嬉しいなんて思ったことないから」
「馬鹿」
「はは、顔真っ赤」
「お前こそ」



(ふぶゆきの場合)

「雪村、ハッピーバレンタイン!」
「こんにちは先輩」
「チョコだよ」
「わあ、ありがとうございます」
「…………」
「…………」
「…うん」
「…………」
「………えっと」
「……練習しましょうか」
「うん、そうだけども。チョコは?」
「ないです。チョコ買いに行くなんて恥ずかしいです」
「えーっ恥ずかしくなんてないよ!」
「代わりと言っては何ですが、日曜日は雪だるまつくりましょう!」
「わー嬉しいなーどうしてそうなるのかなー」棒読み
「冬ソナごっこしましょう!」
「うん意味わかんないけど雪村かわいいから許しちゃう!」



(拓優の場合)

「こんにちは優一さん。チョコどうぞ」
「ああ、もうそんなだっけ、ありがとう。大切に食べるよ。…そうか、だからか…」
「?」
「京介がね、朝わざわざお菓子持ってきてくれたから。なるほどね、バレンタインか」
「………」
「しかも手作りだよ?ほんと京介ってすごいよ」
「………」
「し、神童くん?」
「………」むすっ
「ごめんごめん、ほら、ベッドのお隣どうぞ」
「!」



(拓雪の場合)

「雪村、これ」
「えっいいのか?」
「もちろん、ほら、開けてみて」
「半分こにしよう」
「じゃあせーので食べるか」
「せーの!」
「………」もぐもぐ
「………」もぐもぐ
「おいしいな」
「おいしい」



(神童と霧野の場合)

「神童!いくつ貰った?」
「84だ」
「ぐわあああ負けた俺83!」
「ところで霧野、いつもありがとう。これ」
「ラッキー、とサンキュー」
「ゴディバだぞ」
「ひゃっふうう神童らぶううううう!」
「うん、俺も大好き。でもこれで同数になってしまったな」
「あ、俺も神童のぶん用意してるぞ、ほら」
「わ、手作り?ありがとう。南沢さんチロルだったんだぞ、俺どうしたらいいんだ」
「頑張れ。狩屋は罵倒とツンと疑心の目だった。間違っても俺は毒は入れていない。媚薬なら入れたけど。ほら元気出そうぜ」
「そうだな、南沢さん可愛いからいいや」
「俺も狩屋可愛いからいいや!」



Valentine 2012.2.14


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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