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▼ ボストン市警パロえさぼ


<設定>

【エース】

 ハイスクール時代にスポーツをやっていたため半ばスカウトされるような形でボストン市警へ(※表向き)。
 現在の階級は所謂『刑事(ディテクティブ)』の二十二歳。射撃も格闘技も得意。法律など含め知識を問うような勉強は不得意だが、意外と頭の回転は早い。スペイン語も堪能。
 あまりにも無鉄砲なせいで相棒が出来ても長続きせず、ここ一年は単独行動が多かった。一方で人情に篤い性格でもあるため、取り調べの際などは相手の方が「エースになら全部話す」と言い出すことも。
 ハイスクールに通う弟・ルフィが居る。

※ 裏設定※

 実は全米で有名な巨大マフィアのボスであったロジャーの一人息子だが、警察上層部のガープが養子として引き取ったため、それを知る者は少ない。
 父親に対し複雑な感情を抱えていたせいで十代前半の頃には荒んだ生活を送っており、ロジャーと敵対していたボストン巨大マフィアのボス・エドワード(通称・白ひげ)の元へマフィア入りを志願しに行くが、諸々あって「マフィアになんてなるな」と諭される。
 その後も表には出ない形で親交は続いていたが、エースが警察官になってまだ間もない十八歳くらいの頃に、白ひげが決して扱わないはずのドラッグがボストン市内に出回り、マフィアの一員であるサッチが売人の濡れ衣を着せられた上で何者かに殺されてしまう事件が起きる。
 サッチと友人でもあったエースは、その殺人事件の犯人と、白ひげの縄張りで麻薬を扱う等という禁忌を犯して白ひげの顔に泥を塗った組織を密かに追っている。(そういう理由もあり、エースはそれこそFBIなどからもスカウトが来ているにも関わらず、あくまでもボストン市警に居着いている)
 個人的に追っている事件のため、相棒なんて居ない方が色々と動きやすい……と歴代相棒を振り回しては単独行動へとこぎつけていたが、今回の新人(サボ)はひと味もふた味も違うようで──?
 なお、本当はハイスクールは出ておらず、卒業証書は偽造したため、ハイスクール時代の話を振ると少しばかり齟齬が生じる(ことにそのうちサボは気付くと思う)
 裏社会で顔が効く(効くというか完全に一目置かれている大幹部扱い)ので、裏社会の人間しか入れない闇賭博とかに行ったときに扉の前の用心棒へサボが警察バッジを見せようとするのを静止して、相手の耳元で何事かコソコソっと話す──みたいなイベントが起きる。(囁かれた相手は顔面蒼白になったあと急に態度を改めて速攻で扉を開けてくれる)。サボはそれを見て不思議そうに首を傾げているといいし、全てを知った後に「まあ、そうなるよな……」と納得してほしい。

【サボ】

 某有名大学を飛び級で卒業した天才で、国の諜報機関などからもスカウトがあったが、何故かボストン市警を志願した変わり者の新人。イギリスとフランスの血が入っているが、永住権はアメリカにある。とはいえ英国なまりの英語+フランス語で会話しがち。
 大きな火傷痕があるにも関わらず全体的にあまりにも童顔なせいで学生と間違えられてナメられやすい。しかし射撃の成績は歴代一位(エースも同率一位だった)で、マーシャルアーツも嗜んでおり、見た目よりも遥かに強い。実はエースよりも階級は上だが、それをエースが知るのは結構後になってから(警部補)。

※裏設定※

 本当はFBI所属の捜査官。幼い頃に巻き込まれたテロ事件の犯人がボストン辺りに潜伏しており、新しいテロ計画を立てているという情報を得て、身分を偽ってボストン市警で働いている。(FBI長官であるドラゴンさんの根回しによるもので、ボストン市警の上層部のみ事情を知っている)
 当初はマフィアの白ひげがテロリスト集団と関わりがあるのではと疑っていたり、その線を捜査していく上でエースとマフィアの繋がりを知ってしまったりするが、最終的にはお互いの探している犯人が同じ相手であることが判明し、協力して事件を追うことになる。
 普通の警察官では入れないような政府機関であっても、ドラゴンさんのコネあるいは自分の本当のIDでフリーパスで入れるため、エースが手荒い方法で侵入しようとするのを横目にコソッと係の者に本物のIDを見せてサッと入ったりするイベントが起きる。この本物のIDは二人が相当親密になった頃に偶然エースが目にして「なんだよ、これ……」と指をわななかせたりするシーンもありそう。



<本文イメージ(書きたいシーンだけ)>

【断片1】

 何がそんなに気に入らない、と警部は肩を竦めたが、エースは「everything(なにもかも)」と答えてからブーツを履いた両足を机の上で交差させた。およそ上司の前で取る態度ではないが、この職場では日常的な光景だ。

「だってあの金髪のお坊ちゃん、事務の子に『何か飲む?』って訊かれてなんて答えたと思う? 『紅茶』だぞ?!」

 そこでエースはぎしりと椅子の背に体重をかけてから、両腕を頭の上で組んで目を閉じる。まるで昼寝でもするような体勢だったが、しかしエースはそのまま大きな声で続けた。

「ったく気取りやがって、コーヒー飲めよコーヒー。それともあの気障ったらしい英国訛りだったら『珈琲(カーフィ)』だっけか?」
「随分つまらないことでケチ付けるんだな?」

 僅かに甘さの残る声が真後ろから聞こえてきて、エースは驚いて飛び起きる。俊敏に振り返ると、今まさに揶揄していた相手──サボが、ただでさえ冷え冷えとした青い瞳を更に冷たくして立っていた。

「別にここは喫茶店じゃないんだ。飲みたい物を注文したわけじゃない。声をかけてくれた彼女から紅茶の香りがしたから、効率を考えて同じものを頼んだまでだ」

 淡々と反論してから、サボは愉快そうに片眉を上げてみせた。存分に露悪的な表情だ。しかし、火傷痕のある割には怖くないのは、元の顔つきが幼すぎるせいかもしれない。
 サボは「ああ、失礼」とわざとらしく胸元に手を当てて謝ると、笑みを深くして続けた。

「──もしかしたら喫茶店のつもりだったのか? そうじゃなきゃ仕事もしないでつまらないクダ巻いてないだろうしな?」
「……んだとォ?」

 入ってきたばかりの新人から浴びせられた手痛い皮肉に、エースの顔の筋肉が引きつる。今にもサボのネクタイを引っ掴んで一悶着起こしそうな気配に、周囲が慌てて助け舟を出した。

「そうだ、例の事件の聞き込みに行ってくれないか、エース!」
「そう! 新人指導も兼ねて! ね!?」

(中略)

「仕方ねェから『刑事の聞き込み』ってもんを見せてやる。その小さい割には出来の良いらしい頭でよく覚えろよ、金髪のお坊ちゃん」
「おれの名前はサボだって言ってるだろ。それに同い年なんだから、」
「あー、っと、そこの兄ちゃんストップストップ。見ない顔だな?」

 サボの抗議を完全に無視して、エースは通行人に声をかけた。タンクトップ姿で、両腕にびっしりと何語かも分からないタトゥーを彫り込んでいる若い男だ。サングラスをかけた姿はいかにも厳つい。防犯カメラに映っていた強盗犯と体格はかなり似ていた。
 エースは尻ポケットから出した警察手帳を軽く見せてから、気安い雰囲気で話しかける。

「警察だ。三日前に起きた強盗事件、知ってるか? うちのボスに聞き込みしてこいって蹴り出されたんだが、知り合いには全部聞いて回っちまった後なんだ。だから、何か知ってたら……」

 怪しんだ素振りを見せれば相手も萎縮してしまう。最初はあくまでも「仕方なく仕事しているだけだ」とでもいうように陽気に話しかけるのがエースのいつものやり方──だったのだが。

「Que fait la police pour moi?」
「は?」

 男は大げさに顔を横に振ると、エースの知らない言語で何事かをまくし立てる。

「Mais Cetait un bon moment. Je veux aller au musee, mais je me suis perdu」
「何だ? 何語だそれ? ここはアメリカだぞ英語喋れ英語」

 焦ったエースが、それでも「イギリス訛り以外ならどんな英語でも大歓迎だ!」と新しい相棒への当てこすりを欠かさずにいると、真横から絹のように滑らかな声が聞こえてきた。

「Excusez-moi, puis-je voir mon passeport?」
「は?」

 次はお前かよ、とエースはサボへと顔を向けるが、サボの方はというとエースには構わずに相手の男と流暢に何か言葉を交わしている。男は─エースにとっては何故そうなったかも分からないが─パスポートを出し、サボはその中身を簡単に確認してから丁重に返していた。
 それから目の前の通りを真っ直ぐと指さすと、短い単語と共に右や左を何度か指し示す──どうやら道案内のようだった。
 極めつけに、サボは今日初めて見せるような輝かしい笑顔と共に男に向かって愛想よく手を振って言った。

「Bienvenue a Boston. Profitez de vorte voyage!」

 その言葉に男も笑顔で何事か返すと、見た目には不釣り合いなほどのニコニコとした表情で来た道を戻っていく。
 ──何が起きてんだ?
 完全に蚊帳の外に追いやられてしまったエースが訝しげに男の背中を見遣っていると、サボは「残念だったな」と今度はエースにも分かる言語で呟いた。

「彼は今日来たばかりの観光客だから、三日前の事件とについては何の情報も持ってないだろう。他を当たろう」
「観光客?」
「ああ、フランスからだった」

 博物館に行こうとして逆方向に歩いていたみたいだ、とサボはなんてことないように話す。エースは片目をすがめて、あからさまに「うわっ」と声を上げた。

「じゃあさっきのフランス語かよ。お前、フランス語まで出来んのか?」
「まあ、少しは。アメリカ訛りの英語よりは断然得意だけどな」

 しれっと答えるサボは先程のエースの当て擦りもきちんと聞いていたようで、黙っていれば可愛いはずの童顔を煽るように歪めてくる。先程観光客の男に向けた笑顔と同一人物とは思えない。
 なんだこの野郎、とエースが更に顔をひきつらせたのは言うまでもない。

(続かない……)


※ちなみにフランス語は適当Google翻訳なので違っていても雰囲気で感じとってください



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