わたしは精市くんと弦一郎くんと蓮二くんが大好き。今日だって遊びに誘ってくれた。待たせちゃいけないからお母さんにいってきますを言ってピンクのスニーカーを履いてドアを開けるともう3人は当然かのように待っていてくれる。

「名前遅いよ!」
「いや、俺らが早いのであって名前は悪くないぞ。」
『精市くんごめんね。』

いいよ、と笑ってわたしの左手を取った。ほぼ同時に蓮二くんが右手を取って三人横に並ぶ。そうなると当然弦一郎くんは一人になってしまう。

「3人で並んでは危ないぞ!車が近くを通る。」
「弦一郎、1人名前と手を繋げなかったからといって文句言わないで!」
『でも名前もお母さんに言われたよ、2人手を繋いで2列になって歩きなさいって!』

ピタッと磁石でもくっついたかのように立ち止まり3人は目を合わせて困った顔をする。そしてそのまま話し出したから1人暇になってしまった。お空を見上げて雲を観察しようにも雲がない。快晴。上を向いたまま目だけを動かして面白いものがないか探す。

『あ、ちょうちょ!』

黄色い羽を懸命に動かして舞う蝶を飛び跳ねて捕まえようとしても届かない。左右にフラフラと揺れる動きをすると当然自分も同様にフラフラ動く。あと少し、手を伸ばしたら届きそう。

『…とれた!』

嬉しくて3人に見せてあげようと近付いていくと怒鳴り声がする。

「だから!名前は俺のだって言ってるだろ!俺が繋ぐの!」
「精市じゃ心配だ。俺が並ぶ。」
「弦一郎に同じ。」
「じゃあ名前は誰と手が繋ぎたいの?」
『え?』

今まで会話にいれてもらえなかったからいきなりの問い掛けに手の中に捕まえていた蝶が逃げてしまった。

『ちょうちょが…!』
「蝶はどうでもいいから名前答えて!」
『どうでも良くないもん!折角見せようと思ったのに精市くんのばか!』
「ばかってなんだよ!ばか名前!」
『う…うわぁぁあん!』

どうでもいいと言われ瞳から涙がこぼれ落ちる。蓮二くんが撫でてくれて収まりつつはあるが逃がした蝶は戻って来ないのだ。

「蝶ならまた捕まえればいい、今度は4人でな。精市も謝れ、誰がどうみてもお前のせいで名前は泣いている。」

弦一郎くんに諭されてしぶしぶと言う顔でごめん、と短く呟いた。わたしもばかなんて言ってごめんねと謝ると仲直りと言ってキスをされた。これには弦一郎くんは顔を赤くして怒ったが精市くんは至って冷静にパパとママが仲直りの時にやってたからと言って聞かなかった。



『…って考えると私のファーストキスの相手って精市だったんだ。』
「懐かしいなぁ、今でも俺らの関係は変わらないか。俺がファーストキス相手嫌だった?」
『そうじゃないけど複雑だよね、女の子同士がキスしてたみたいじゃん。あの時の精市女顔っていうレベルじゃなかった、完全に女の子。』
「…一理あるな。」
「お前達!休憩は終わっているぞ!」
「ふふ、あんなに可愛かったのに弦一郎だけ老けるなんてね。」


いつでもいっしょ!





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