私の朝は早い。お弁当を作り朝ご飯も作り洗濯もしなくてはならないためだ。最近はそれが2倍に増えて更に早起きになってしまった。精市くんが隣りで眠る中私は布団から抜け出してリビングに向かう。一人暮らしのマンション生活は1LDKが限界なので部屋を開けたらすぐリビングでキッチンもある。1ルームあるだけでも豪華だと思うが。 『猫ちゃんまだ寝てるかな。』 昨日拾った猫はソファに寝かせたはず。気になってソファを覗くも何もいなかった。 『どこ行っちゃったんだろ。』 「あーん?誰がだ?」 後ろから妙にエロい低音ボイスが聞こえたと思ったら若いお兄さんがいた。 『不審者!』 「うるせぇ…、叫ぶな雌猫。」 「不審者って橙梨どうしたの!?」 私の叫びに気付いた精市くんが起きてきて若いお兄さんを見てひと睨みする。 『どこから入った不審者め。』 「どこからも何もお前らが無理やり連れてきたんじゃねぇか。」 『誰がいつお前みたいなやつを連れてきたんだ。私はそんな覚えはない。』 「…そうか、なるほどね。」 上から目線のお兄さんを見つつ精市くんは頷いた。これはまた彼の知り合いフラグじゃないだろうか。 「昨日猫を拾っただろう?」 『え、うん。』 「その猫はこいつの獣化した姿だよ。」 『…は?』 「だから言っただろ、お前らが拾って来たって。」 多分今目が点になっていると思う。このお兄さんが昨日の猫。ありえない。大体獣化といってもあそこまで進んだ人初めて見た。部分的な精市くんとは違い全体が猫になっていた。というか、 『雌猫とか言ってた人が雄猫に獣化なんて…。』 「おい、笑うな。」 「だよね、ほんと笑っちゃうよ。」 『じゃあ何であんな時間にあんなとこにいたの?』 「別に…夜の散歩だ。」 そう言ってそっぽを向くお兄さん。 「嘘だね。察するところ迷子になってさまよってたら獣化しちゃってますます帰れなくなっちゃった、って感じじゃないの?」 「んなわけねぇだろ!」 「声張るところが怪しいしお坊ちゃんの君が夜外を一人で歩くなんて家の人が許さないだろ?」 『へぇ…。』 「お前ら2人揃ってニヤニヤしながら見るんじゃねぇ!…あと少ししたら迎えがくるが短い時間世話になった。また折り入って礼はする。それと、」 氷帝の生徒なら外部からの編入生でも俺様の顔ぐらい覚えておけ |