幸村side

もう3日が経つ。そろそろ捜索届けを出したほうがいいのかもしれない。手がかりも何一つつかめぬままただただ時が過ぎるだけ。だったら猫の手も借りたい。柳の精密なデータも通用はせず、丸井の鼻も役に立たなかった。もちろん、俺の鼻もマーキングも。奈緒にかまをかけてみても特に効果はなく知らん顔を貫き通した。今日は部屋で作戦会議だ。丸井はお菓子ばかり食べて聞いてなさそうだからでかいねずみの耳をつねってやる。聞こえてるというがこっちはパリパリ雑音が耳障りだ。ごめんねジャッカル、お守りを頼んだよ、苦労をかける。

「奈緒についての情報だが。」
「あぁ。」
「どうやら青学の不二周助と関わりがあるらしい。」
「不二?学校も違し橙梨に接点なんてなかったと思うんだけど。」
「それがな、この前の休日に雑貨屋で茅野と不二があっていたのを見たという者がいたんだ。」

不二が、いや彼も特に彼女に固執する理由がない。それに獣だっただろうか、ここまで彼女を隠しとおせる能力があるとは思えない。どちらにしろ厄介だ。下手に介入して手を出されたら困る。どんどん情報が出てくるものの具体的な救出方法がないのが悔しい。

「ほかに何か情報はないんか?」
「残念ながらな、特にこのメンバーに青学のものはいないし増してや不二に気軽に話しかけられるやつもいない。せいぜい貞治に聞ける程度だ。貞治も勘がいいからあまり聞きすぎると怪しまれるしな。」
「でもでも!何とかしないと!何かいい考えはないの!?」
「考えはないこともない。」

ごくり、全員が柳の言葉に息を呑むのがわかった。


「精市を筆頭に突っ込む。」
「…、すごく期待したのに。」
「それしか方法がない。できるだけ俺たちも支援はする。」
「そんなに頭がキれるやつに一人だけ行くっていうのはどうかと思うC。」
「芥川、逆だ。俺のデータでは精市と不二の趣味は似ているため安易に家に上がりこめる可能性が70%を超えた。」
「なるほど。」

それじゃ決行は明日だ、そう言ってみんなは帰っていった。お腹が空いたけど何も食べたくない。橙梨の血がいい。最近お預け状態が続いて更に行方不明が重なってぜんぜんいただけてないのだ。別に健康上問題はないのだけどイライラする。丸井で言うお菓子みたいな存在。柳が作った飴でも食べて気を紛らわそう。こんなとき彼女だったらなんていうのかな、健康に悪いからいやでも食べろって口の中に無理やり突っ込んできそうだ。


そんな君は今どこにいるのだろう



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