本日は生憎の雨天。洗濯物を部屋干ししてソファにもたれテレビを見ていた。精市くんとは昨日の口論もあってか少し距離を置かれているような気がする。朝から不機嫌気味だったし。私から話しかけようとも話辛いし一体どうしたものか。ちらちらと視線を送るが鬱そうに窓の外を見ている精市くんには届いてないだろう。


「…さっきから何ちらちら見てるの。気になるんだけど。」
『えっ、気付いてたの。』
「で、何?」

やっぱり彼はご機嫌のよろしくないようで。眉をひそめている。

『昨日の事なんだけど。』
「またその話?聞き飽きた、うんざり。」
『その話じゃなくて。ただ、最近精市くん昼の性格が夜と同一化してきてない?』
「あぁ、それか…。」

反応からどうやら思い当たる節がありそうだ。昨夜のこと、論議していて不思議だった。あれはまだ23時になっていない状況からスタートした。しかし話しているうちに精市くんの性格が獣時と変わらなくなっていった。昼間の彼は温厚。普通に話していればあんな口論にはならなかったはず。記憶は共有しているといえどそう易々と獣化した彼が表に出て来れるのか。

「もうすぐ満月なんだよ。」

精市くんは窓の外の空を仰ぎながら言う。

『満月?』
「うん、俺たち獣化するやつでも肉食動物は満月が近くなると獣化時間が長くなっていく。満月の日は最大12時間獣になるらしいね。だから無意識のうちに獣化していたのかも。」
『なるほど。肉食動物は、って事は草食動物にはないの?』
「真逆になるんだ。草食動物は肉食動物から逃れようと満月の日は獣化しない。襲われたら大変だからね。」
『すごい仕組み。それじゃあ月がなくなる日はどうなるの?』
「…それは内緒。」

新しい玩具を見つけたかのように楽しそうに精市くんは笑った。聞いた話が本当ならば満月に彼はまた何か起こすのだろうか。ボディーガードに忍足を家に上げるという手もあるな。精市くん嫌がりそうだけど忍足最終兵器ね、流石に慈郎呼べないし。

「橙梨さん気をつけてね。俺いつもは制御かけてるけど満月は制御効かないから。」
『…私にどうしろと。』
「んー、多分拒否しても止まらないと思うしされるがままになるか、もしくは捨て身覚悟で突き飛ばす?」
『されるがままは嫌だ、何されるか分からない。』
「ちょっとエロい方向に走るかもね。よかったじゃんハジメテが俺で。」
『そういうの前提なの!?』


いずれにせよ処女は俺が貰うし



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