「お前いい加減にしろよ…、桃香が誰もいないはずの部室から物音がすると聞いてみてみればこの有様か。」
『だから私じゃないっていってるじゃない。』
「じゃあ誰がこんなことしたんだ。お前しかいないだろう。」
『話を聞いて。』

反論する間もなく跡部に頬を殴られた。壁に叩き付けられてずり落ちる。

「お前の話なんて信じられるか。」

倒れ込んでいたら部室の真ん中に連れて来られて今度は全員に殴られたり蹴られたりする。痛いなんて言っても病むことはない。腹部に当たった衝撃で転がり棚に当たってトロフィーが落ちた。嫌な音がして縁がかけて私の横に破片が飛ぶ。


「最悪だC。俺らの栄光丸潰れじゃん。」
「ありえへん…、ふざけとるやろ。」
『あんたらのせいじゃん…。』
「は?お前が壊したようなもんだろ。」

一端手を止め芥川はトロフィーを拾いあげた。その間に体制を整え上体を起こす。口端から滲む血を拭って咳き込んだ。

「トロフィーさ、このままゴミにするの勿体ないC。」
「仕方ないだろ、くそくそ壊されたんだ。」
「…いや、一つ活用方法はあんで?」

芥川からトロフィーを受け取った忍足が私を見ながら笑う。


「ゴミはゴミが片付けや。」


大きく振りかぶって私の肩に向かって振り落とした。骨が軋む音がして割れている部分が尖っているため刺さり血が広がる。

『ッ!』

痛みで意識が飛びそうになる。手で肩を押えても血は指の間から流れ落ちる。周りからはもっとやれと言う声と戸惑いの声が交じり耳に入った。面白がる向日は忍足の手からトロフィーを奪い殴りかかろうとする。

「なぁ侑士、どこならセーフなんだよ?」
「せやなぁ、腕ならギリ見えんやろ。」
「ふーん、じゃあ腕でいいや。」

欠けている部位をわざわざ突き立ててくる。腕、使い物にならなくなるかなぁ。やりたいことはまだまだあったのに。

「お前らそんなにやると後始末が厄介だからやめろ。」
「ええやん、そんなもん全部こいつがやるんやから。」
「そうだC、桃香帰ろ?すぐ着替えるからさぁ。」

批判の声にようやく手は止まり血で汚れたトロフィーは私に投げられる。着替えるためと言って私を部室の外に蹴りだすと桃香はその後ろから出て来た。

「痛いですよね。」
『…。』
「答えられないぐらいなんですか。ならさっさとマネージャーなんか辞めればいいのに。」
『辞めない、よ。』
「あんたマゾヒストでしょ?」


笑う桃香の目だけ笑ってなかったのはきっと見間違いだろう。



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