「赤也…、何回目だい?」 「確か今年に入って3回目だな。」 「全くたるんどる!」 本日の放課後部室では赤也を取り囲んで3強が険悪ムードだった。他の部員はロードワーク、雅治は嫌だといつまでもぐずっていたが幸村くんのオーラに負けてみんなを追いかけていった。オーラを見る限り魔王とひよこだった。その後無性に可哀想だった雅治と一緒に帰る約束をした私。だってひよこが可愛過ぎたんだもの。 「すいません!英語だけは無理なんです!」 「しかし苦手克服しなければ前に進めないぞ。」 「今回ばかりは真田の言う通りだ赤也。」 「柳先輩…。」 「いいから課題、部活が終わるまでに終わらせる事。終わらなかったら来週の練習試合代わりに青菜出すから。」 『私!?』 「そうならないように今から赤也の面倒見てね、しくよろ!」 …可愛くねーぞ幸村くん、バックのオーラが星を飛ばした魔王だ。またとばっちり係だ…、勘弁してくれ…ってアレ? 『何か自然な流れで部室いるけど私マネージャーじゃないんだけど!?』 「えっ」 『えっ』 「いいんじゃないこの際マネージャーやれば。みんな歓迎するしこの前の変なゲームのお詫びも兼ねてさ。」 まだ根に持っていたのかこの男、しつこい。 「誰がしつこいだって?とりあえず赤也頼んだよ。」 バタンと部室の扉が閉まり肩のジャージをなびかせ出ていった。振り向くと課題を胸に抱え涙目の切原くんがいた。…ひよこの次はわんこか。 「先輩…、俺、先輩が俺の試合出るなんて嫌っス!」 『まずソコ!?私も嫌だけどさ!』 「お願いします手伝ってください!」 案外課題の量は多かった。両面刷りのプリント8枚。わぉ、ちょうど立海Rの人数だし基礎プリント3枚に応用3枚に参考1枚、まとめ問題1枚。私は基礎問プリントに切原、丸井、仁王と名付けた。もちろんまとめは幸村。 「先輩、ここ分かんないっス。」 『これは現在進行形を過去形に変えてねー…。』 切原くん、これ1年生の問題じゃないの? 私本気で心配になってきた。それでも彼は真剣なので水はささないでおく。やる気のうちに進めるのが一番効率のいい勉強法、集中しているし。 部室に差し込む陽の光が橙に変って来た頃とうとう幸村プリントまで到達した。 「先輩、これでラスト!これ自分の力だけでやったら一緒に帰ってくれる…?」 『…雅治も一緒だけどいい?』 「ちょっと嫌だけど独り占めされる方がいやだから我慢っス!よし!」 シャーペンの2回ほどノックして物凄いスピードで書いていくのには驚いた。まぁ確かにあれだけ練習問題を重ねていたら余裕だけど彼は別。英語は壊滅的、さらには自分の力だけのはずなのに、幸村プリントなのに…! 「終わったっスよ!」 『嘘でしょまだ10分経ってない…。』 「先輩のおかげ!このプリント先輩が教えてくれたとこばっかりだったんス!」 『ほんとだ…。』 「じゃあ出しに行って来ます!仁王先輩と帰っちゃダメですよ!待っててくださいね!」 『はいはいいってらっしゃい。』 ((とある悪魔の英語課題)) 「先生いくらなんでもなめ過ぎっしょ、1年のなんて余裕だし。」 「先輩独占出来てラッキー!」 △ back ▽ |