『え、真田がご飯作るの?』
「うむ、簡単なものなら一通り出来るぞ。」
「真田、唾いれないでね。」
「俺は丸井じゃない。」
「料理中に叫ばなければ。」

説教が終了してエプロンを付け始めた真田は冷蔵庫から肉やら野菜やらを出して下拵えを始めた。幸村は相変わらず毒舌だし他の部員(ジャッカル以外)は手伝う気は更々なさそうだ。和室風のリビングに似合わない最新型キッチン+おっさん。あ、間違えた真田。

「そうだ青菜、君美化委員会所属だったよね。」
『誰かさんが無理やり入らせたからね。』
「明日緊急委員会があるみたいだよ、何でも花壇の花が全滅したみたいで。」
『へ、へぇー…。』

曖昧な返事をしたものの今回は本当に私じゃない。…やった奴を知ってはいるけど。幸村くん椅子に足組んで肘掛けに片手つけて頬杖するのやめて欲しい、魔王にしか見えない。切原くんは切原くんでなんで幸村くんの右足の下でゲームしてるの、こっちはこっちで下僕にしか見えないよ!

「変な話なんだけど被害にあった花壇にはテニスボールぐらいの丸い穴がたくさん開いてたらしいんだ。おかしいよねー。」
『ウン、ソウダネ。』
「俺犯人見つけたら八つ裂きにするかもしれない。」

ガタッと大きな音がして雅治とブンちゃんが椅子から落ちた。

「…おっと腰が滑っちまったぜぃ。」
「奇遇じゃなブンちゃん、俺もじゃ。」
「仁王くん、腰は簡単に滑りませんよ。」

正直に言ったらどうです?と後に続けて柳生は言う。みるみる内に顔が青くなる二人とオーラを増してニコニコする幸村くん。

「なんの事じゃやーぎゅ、意味がわからんぜよ、な?ブンちゃん。」
「あぁ、柳生変なもの食った?…ジャッカルが。」
「俺かよ!」
「丸井くんじゃありませんよ私は、拾ったものは食べません。」
「いくら俺だって拾ったものは食わねぇよ!?」

『もう素直に言うよ、幸村くん、犯人はこいつら2人です。』
「裏切ったな貴様ァ…!」
『私は今回関係ないもん。』
「仲間じゃと思っとったんに…!」
『君らよりも私は幸村くんを取る。』
「浮気か!死なすど!」
『パクんなや。』
「…丸井、仁王…ちょっとこっちこようか。」

2人は首根っこを掴まれ隣の部屋に連れていかれた。ふすまの向こうに拷問道具がおかれていた事には私はもうツッコまない事にする。

「あのふすまの向こうは昔から拷問部屋として使われているんだ。」
『御三家!?』
「そのネタは今はいけませんよ。」

時々聞こえる断末魔や怪しげな音に私は黙って頭の中で経を読んだ。柳生と柳は手を合わせていた。手を合わせた後柳生は涙ぐみながら微笑み振り返る。

彼らの事はもう忘れましょう。」
『いやまだ死んでないよ!?精神は死んだんじゃないかと思うけど。』
「あれは妖精だった、精市というピーターパンの元に帰った確率80%。」
『あのふすまの向こうにネバーランドが広がっている確率0%だよ!』
「用意が出来た、早く食べよう。…3人ほど見当たらないが。」
『空気読んで真田、あっちで幸村が料理しにいった。』

ほぅ、と感心している真田、料理されてるのは君の仲間だ。柳達は今までの事をさっぱり忘れていただきますなんて呑気にご飯をいただいていた。そうだ、彼らは星になった!

『いただきます!』

((3Bの泣く頃に))

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