「仁王先輩ずるいっス!」
「繋いだもん勝ちじゃ。」
「青菜先輩!俺も!左手ー!」

3人での帰り道…、のように見えるが実際には3人じゃない。切原くんは気付いてないだろうが雅治なら気付いていると思う。背後からグリーンアップルの香りと五つ分の影が着いて来ている事ぐらい。

「つーないだ!ね、青菜先輩!」
『ん、そうだね。』

無邪気な笑顔に髪をくしゃっと撫でたくなったが生憎両手が塞がれている為それは無理だった。その様子をあまりよく思っていなかったのか雅治は耳元に息を吹き掛けてきた。ついでに"尾行を撒こう"とも。

私には分かる、あの中には必ず幸村くんがいると。上手く逃げられても明日はないと。

「先輩ら、次の角曲がりましょう。」
「なんじゃ赤也気付いてたんか。」
「流石にそれぐらい分かるっス。分からないの丸井先輩ぐらいじゃないスか。」
『切原くん純粋と見せかけて違うんだね…。』

▽三人は角を曲がった!

「この壁を越えれば上出来ナリ。」
「そうっスね、仁王先輩に賛成。」
『その壁の向こう民家なんだけど!』
「大丈夫じゃ!」
『何を根拠に!?』
「もう時間ないんで行っちゃってください!」

先に向こう側に行った雅治に受け止められたからよかったものの普通先輩を塀から突き落とすか切原少年。というか雅治、いい加減離してくれ、もう抱き締めなくていいよ。こんなに雅治背高かったっけ。安心する温もりに包まれていたら切原くんも後ろから抱き締めてきた。韓ドラの甘い三角関係みたいだがよく考えて、ここは他人の家の庭だ。

「「青菜(先輩)。」」
『…何?』
「「やばい俺植木鉢の上なう。」」
『は…?』

抱き締める力が弱くなって下を見れば二人とも本当に植木鉢の上に乗っていた、というか踏みつぶしていた。どこかがかけているなどという生易しいものではなく叩き割ったような粉々さ。

「どうしよう。」
「逃げるしかないっスね!」

いい笑顔!いってる事はとんでもないけど!

「お前達、そこで何をしている。」
「他人の家に勝手に入るのは感心しないなぁ。」
「しかも植木鉢割るとかありえねぇだろぃ!」
「よかったね、ここが真田の家で。」

いつの間にか揃って縁側に立っている立海戦隊尾行ジャー

「誰も尾行などしていない、もともと真田の家で夕飯をご馳走になる予定だったのだ。」
「何で誘ってくれなかったんスか!」
「だって3人さっさと部室出て行っちゃうし?」
「う…。」
『で、真田は?』
「…ここにいるが?」

肩を叩かれ(掴まれ)振り向けば鬼の形相をした真田が視界にログインしました!

「仁王!赤也!霧矢!貴様ら正座だぁぁぁぁあ!!」
『すみませぇぇえん!』


((君達と僕))

「さ、4人はほっといて夕飯いただこうか。」
「いえーい!飯ー!」


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