『青学のテニス部ってどこ?』 「んなもん知らなくて行く所だったのかよ。まぁ一緒に行くけどな。」 『え、テニス部に用なの?』 「ふ、俺様の美技を見て行きな。」 ドヤ顔止めてください笑いが堪えられないんですが!なんかこんな人見た事あると思ったら歌い手のべー様さんじゃないの。口癖は確か"あーん?"。そっくりなのだが喋り方性格ともに。でもお坊ちゃまって笑顔動画見たりするのだろうか。間違った時のリスクは計り知れないのでかまをかけてみよう。 『跡部あの…。』 「着いたようだな。降りるぞ。」 『お、おう…。』 …タイミングを逸した!隣りに並んで歩くが会話はない。無言である。もともと私は喋る方ではないし丁度いい。むしろ頭で妄想出来るぜ! 「ニヤけてるぞ。」 『つい癖で。』 「顔は悪くないのに残念だな。」 『性格が残念な人に言われたくないっス。』 「俺様は完璧だろうが。」 「そういう所がダメなんだよ。ね?茜。」 最も会いたくない不二様が降臨なされた。眩しいぐらいの笑顔に隠されたそのオーラはなんだい?美味しいの?テニスコートの入口で立ちはだかれると跡部が入れない。 「お前の連れというのは不二だったのか、あーん?」 『べー様!』 「何言ってるの茜、こいつはただのアホ部だ。近付いたらアホが移るからこっちにおいで。」 『いくら不二の命令でもそれだけは無理です。』 「フられたな不二!」 跡部の笑い声が高らかに響く。それに引き換え不二は掴んでいたテニスボールが弾けそうなぐらい握り締めている。次第に力を緩め怒りが収まったかと思えば持って来たラケットを軽く振り跡部の顔を掠め当てた。高らかに笑っていたのが一気に冷めたようだ。 「…不二。」 「あぁ、悪いね跡部。手が滑ったよ。」 『わざとだろ…。』 「何か言ったかい?」 『いいえ!』 じゃあ僕は跡部と手塚と話があるからと言って2人は行ってしまった。さぁどうする私。果てしなく暇だ。一人でぶつぶつ呟いていれば肩を叩かれる。 「ねぇアンタ。」 振り返ると帽子を深くかぶった小さな男の子。 『なんだい?少年。』 「少年じゃないよ、昨日駅前にいたよね?」 『うん。』 「俺たちの事忘れちまったのかぁ?いけねーな、いけねーよ。」 少年が帽子を取って軽く微笑むのと同時にもう一人黒髪の少年が近付いて来た。 『昨日の踊り手さん!』 「正解。てか不二先輩の彼女だったんだ。」 「先輩もすみにおけないっスね、でも学校で見た事ないような。」 「あ、それ同感っス。」 なんか私勘違いされているような気がする。彼女だなんて恐れ多い、君みたいな子ごめんだって心に傷刻まれるのがオチだろう。そんなフラグはへし折るまでだ。 『彼女じゃないよ。』 「でも不二先輩今日彼女が見にくるって昨日嬉しそうに夜メールして来たっスけど。」 『100%嘘です。』 「だとしたら学校で見掛けない理由は?」 『それはー…。』 言ってしまっていいのだろうか。しかし迂闊に会わないだけだよ何て言ってしまって探されたらどうしようもないし。戸惑いがちに目線を外したら話が終わったのか不二がこちらに歩いて来る。 「茜、部活終わったよ、帰ろう。桃と越前は早く着替えておいで、今からタカさんの寿司屋行くって。」 「まじっすか!?やりぃ!」 「あっ桃先輩待ってください!」 『…あの、不二、』 「あぁ、上手く隠せたでしょ?おもちゃが取られるのは嫌だからね。」 隠す理由は独占欲 『私もお寿司屋さん行くの?』 「もちろん。」 |