家に帰り着替えてすぐにパソコンを起動した。帰宅部だから4時に帰宅…、というわけにもいかず、王子に強制的にテニスを見せられたのであった。ホモがいたのには驚いた、まさか同学年に…!結構有名だったみたいだがリアルに疎い私には全く知らない新情報だ。ちょっとテニス部に興味がわいたなんて嘘であって欲しい、ホモにつられるなんて自分でもドン引きや。

『ん?』

skypeを立ち上げて見たらだれかからチャットが飛ばされている。

[元気かい?久しぶりに通話しようよ]

出て来たアイコンの写真ですぐに誰だか把握出来る。

『久しぶりだなぁ、またそっち行きたいや。』

[元気だよ、そっちは?9時からならおk]
[返事遅いからびっくりした、部活やってなかったよね?分かった、9時になったらこっちからかける]
[色々あって!待ってる!]

一端パソコンを閉じ、ラップがかかり冷たくなったご飯に手を伸ばす。レンジで温め直して4人がけのテーブルに腰を下ろした。

『いただきます。』

声が返ってくることはない。最初は寂しいとか思うことはあった。慣れって本当に怖い。いつの間にか家に一人が当たり前になっていたのだから。手を付けようとしたらぴんぽーん、軽快にインターフォンが鳴った。

『ったく誰だよ今から食べようとしてたのに…。』

思う足取りで玄関へ向かい戸を開けた。

「忍足ですー…っておま!ちょっ!」
スピードスター詐偽ならお断りです。』
「なんやねん!その詐偽!」

ドアに手を挟み開けようとしてくるから私も本気で閉める。それでも男の力には勝てず簡単に開いてしまった。

「どこに来客をしめだす奴がおんねや。」
客?どこどこ?
「謝る気もないんやな!」

いちいちうるさいやつだ、忍足謙也。というかなんで家知ってんの?ストーカー?そう考えてるうちにリビングに突入してしまった。

「飯の途中やったか、堪忍な。」
『別に。』
「おまえもエ〇カ様!?」
『用件は?』


一泊でいいんで泊めてください。」


『…は!?』

理解出来ない、王子や百歩譲って光くんの家に行くなら分らなくもない。でもなんで私の家に来るんだ。訳が分からないよ!

「美空の母さん医者やろ?…俺の親もやねん。で今日家に帰れんらしくてドアの前に立ったらアレ?鍵がない。メールしたら美空さん家行け、で来たら…な?」
『ほんで身一つで来たんか。』
「いえすボス!でも飯はコンビニで確保して来た。」
『よろしい。』

コンビニで温めて来たのだろう、まだ少し温かそうな弁当を横目にご飯に手を付けた。彼もいただきます、と手を合わせて割り箸を割る。というか泊まることはもう決まったのね…。

「なぁ、美空さんは俺が嫌いなん?」
『へ?』
「…昼休みあんなこと言うたし。」
『嫌いと言うより苦手だな、騒がしい感じが。』
「金ちゃんかて騒がしいやん!」
『可愛いから。』

理不尽や…、とうなだれる。アレ?意外とひよこ属性?気がついたら手を伸ばして頭を撫でていたみたいで私も忍足も固まった。きょとんとしながら見てくる瞳に何も言えなくて。





『…手が滑った。』



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -