「茜、起きて。」 『あと1時間…。』 「…昨日の事忘れたの?」 『はい!起きます!』 目を開けると不二の顔がドアップで距離でいえば大体5cm離れてるか離れてないか。なんちゅー心臓に悪い起こし方やのん。 「おはよう。」 『…はよ。』 「不機嫌そうだね、ほら、おはようのちゅー。」 『やらないよ。』 つまんないなと言いながら不二は私のベッドから降りた。どうやら私は馬乗りになられていたらしいが全然重みを感じなかった。…本当に男か不二よ。実は女なんじゃー…。 「脱いであげようか?その後の保証はないけど。」 『遠慮しま「何言ってんだよ兄貴!」…祐太くん。』 まだ7時頃なのにばっちり制服を着こなした祐太くんが私の部屋のドアから顔を出した。テニス部の練習にしては早い気がするけども祐太くんは頑張りやさんだから自主練をするんだろう。見習えよ兄貴、そのうち抜かされるぞ。 「まだまだ祐太には負けるつもりはないよ、こんなんで赤くなってるようじゃ、ね?」 「兄貴があんなこと言うからだろ!?…うわっこんな時間…!観月さんに怒られる…!じゃあいってきます!」 『いってらっしゃい!』 「…さぁ、邪魔者は消えたね。」 『何言ってるの!?』 冗談だよ、なんて言って笑ってるけど私には冗談には聞こえなかった。不二の絶対王政は家でも健在か…。祐太くんがなかなか家に帰ってきたくないのも分かる。痛いほどに。ようやく布団から出て姿見の鏡をさりげなくみると髪の毛が酷い事になっていた。 「早く支度してね、30分後には家を出るから。」 『この髪を見た上でそれを言いますか?』 「何か言った?」 『…何でもない。』 文句の1つも言わせてもらえないだと…!第一私どこ行くかすら聞いていないのに服なんて選べない。でも不二青学の学ランを着ているから大体行くところと言えば限られてくるから私も制服の方がいいのだろうか。…私今制服を持ってないけど大丈夫かな。 「あ、これ姉さんのなんだけど身長同じぐらいだし着れるよね、今日はこれ着て。」 出されたのは青学のセーラー服。何度見ても緑は微妙…、私絶対似合わないだろ。私は四天宝寺のチープな制服で十分です、はい。スカートに手をかけるが不二が見ている事に気付き部屋から追い出しドアを閉めた。油断も隙もない。 『おかしーな、ウエスト細すぎる…!』 そういえば不二姉、もとい由美子さんはスタイル抜群だった。毎日運動もせず乙ゲーに浸っている私がこんなスカートが入るわけがない!でものろのろして不二に怒られるわけにもいかないし腹をくくれ美空茜! 下から徐々に上げて腰まできた。あとはファスナー、フックを締めるだけ。 『茜、いっきまーす!』 そりゃあもう初代ガ〇ダムの機関士並に叫んださ。ブチッ。あー…、いい音がしてファスナーの先っぽ取れた。詰んだ、詰んだよ私。まさか勢いよく上げすぎてこうなるとか誰が想像するかな。 これは事故ですか? |