【skype】…互いのアカウントを交換することにより無料で通話が出来るアプリケーションである。 『忍足先風呂入ってきなよ。』 「えぇの?ほな先入らせてもらうわ。」 あの後テレビを見ながら会話(8割忍足)してゆっくり食べた。洗い物はありえないスピードで洗ってくれたからすごく助かったので感謝している。そんなんでふと時計を見たら20:40で通話まで30分を切っていた。よく考えたらここには私一人じゃない。マイクで忍足の声を拾われてみろ、あいつに何言われるか分かったものじゃない。慌てて風呂場に押し込んで軽く使い方の説明をしてから急いでネットを立ち上げる。マイクとヘッドフォンをつけてスタンバイだけしておいた。いつも予定より早くかけて来るから準備が必須なのである。 かけるよーとチャットが飛んで来ていいと言う前に1コール2コール鳴ったので速攻出た。 「聞こえてる?」 『ばっちり、それで何か用だった?』 「用がないとかけちゃダメかい?」 『かまわないけど、珍しいなと思て。』 「確かに僕からかけることはあまりないね、うーん、家にある黒魔術の本で茜調べたら男の匂いがしたから気になってさ。」 『まっさかー!男とか当分出来そうにないわ。』 「だよね、僕で十分だ。」 どういう意味?というか黒魔術てどういうこと!?私呪われてるの!?どこで手に入れるんだよそんな本。顔が若干引きつっているのは通話だから見えなくてセーフだ。 「ビデオ通話にするかい?」 『お断りします。』 この部屋監視カメラ設置されてないよな。 なんでこんなにも考えてることが分るんだろう。私の周りの男はやっぱり変だ、ストーカーすれすれだ。 「ストーカーだなんて心外だよ、幼馴染みだからに決まってるだろ。」 『そうですねー…。』 「でさぁ今週の土日だけど「美空ー!何か着替えない?」…。」 あああぁぁぁ゙!!! ビデオ通話じゃないだけマシだ。現在忍足は下半身にタオルを巻いただけの状況である。こんなんみられたら呪い殺されてしまう! 「ねぇ…、今の誰?」 『ひよこ!』 「ひよこは話せないよね。」 「あ、この声青学の不二くんちゃう?」 『ちょっと黙って忍足。』 「へぇ…、忍足かぁ。で、こんな時間まで家でナニをシてるのかな?」 『変換ちゃうよ!?』 「泊めてもらうねん。」 『素直に言うなぁぁぁ!』 怖くなってパソコンを閉じた。強制終了してしまったが仕方がない。これ以上通話してボロが出たら困る、たまったもんじゃない。忍足に着るものも渡さないといけないし。 下着は父さんの未使用のものがあったはず。パジャマはいつも使っていたものを使ってもらおう。父さんの箪笥を開けると懐かしい匂いがした。 『はい、じゃあ私お風呂に行ってくる。』 「おん、ありがとな!」 風呂場に行く途中でメールに気がつき開いて確認する。 FROM:不二周介 ―――――――― 今週土日家に来て ね。聞きたいこと 山程あるから。 もちろん断るなん て許さないよ? ―――――――― 失言だらけのskype通話 …私の今週の予定が勝手に埋まりました。 |