◎ 不二周助の誕生日
人の誕生日を忘れてた、そんなときどうしようか。ましてや相手は彼氏。知らなかったで済まされる問題ではない。というのは先月の私の誕生日で高そうなネックレスを貰っているからである。
「南、今日一緒に帰ろう。」
『うん…、あ、いやダメだ。今日は行かないと行けないとこがあるから…無理。』
「そう…。」
別に彼の誕生日プレゼントなのだし遅れている訳だから一緒に行っても問題はないと思う。そうこうしているうちに時間は過ぎテニス部は活動を始めていた。周助行きなよと肩を押したが行く気はないらしくニコニコと笑っているだけ。
「ちなみに聞くけどどこにいくんだい?」
『んー…、雑貨屋かなぁ。』
誕生日プレゼントにサボテンもいいけどサボテンは周助のところにいっぱいあった気がする。なら趣味の一つである写真のフォトフレームでも贈ろう、そんな考えで雑貨屋をあげた。
「かなぁって事は行くところ決まってないんだね。じゃあ一緒に帰れるはずだよね?」
なかなか引き下がってはくれなかった。
『周助いるとちょっと見にくいっていうか。』
「もしかして下着?全然問題ないよ?」
『この前お姉さんもどうですかって言われてたくせに!』
「ははは、南は面白い事を言うね。残念でした今日は学ランだよ。」
『とにかく!絶対一人で行くから!』
言い切った!何か途中でおかしな流れになったけども。振り切って行こうかとすれ違おうとしたら周助の体にぶつかってそのまま抱き締めすくめられた。
「もしかして浮気とかじゃないよね。」
『…まさか。』
「だよね僕以外にお前を好きになるやついないよね。」
『どういう意味だ。』
「…何で昨日何も連絡して来ないし今日も避けるの。」
『だって彼氏の誕生日忘れるなんて彼女失格じゃんか…。だから今日プレゼント買いに行って謝っておめでとうって言おうと思ったの。』
周助の胸の中で聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で呟いた。
「そうだったんだ。でもね、僕は何かを貰うよりも南とこうしている方が幸せだよ。」
『じゃあ部活終わるまで待ってるから一緒に行く?』
「大丈夫、手塚は脅し…いや、許可は取ってあるからいますぐ行こう。」
僕らは手を取って歩き出した
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