テニス | ナノ

 不二周助/甘

『不二ー、…課題やった?』
「うん。…まさかまた…。」
『えへ、忘れちゃった。』
「…はぁ。これね、授業までには返してよ」

はい、といつもながら不二はノートを見せてくれた。申し訳ないと思いながらも借りてしまうのは私は彼が好きだから。彼以外に借りたことはないしこれからも借りるつもりは毛頭ない。綺麗にまとめられたノートを一枚一枚めくっていけば目的のページに辿り着いた。

『げ、こんなにあるのか…』
「やらないのが悪い。30分もあれば終わるんじゃない?」
『そんなにかかるのー…?』
「…ちゃんとやろうね?」

すーっと目が開かれて見つめ合う。やめてください、開眼は怖いんで。しぶしぶシャーペンを取り自分のノートを広げた。交互に見つめれば私のまとめかたの悪さがよく分かる。なんでテニス部なのにこんなに勉強も出来るんだ…。

一問、二問と写していくと前からなんともいえない視線を感じた。見れば、不二が前の席の子の椅子を借りて私の机に頬杖しながら首をかしげていたのである。

「…やっぱ見てるの暇だよ、何か喋ってー」
『写してるから無理』

その子供っぽい姿を可愛いと思った。言ってることは無理に近いが。

「…じゃあ僕がノートを貸してあげてるのってなんでだと思う?」
『可哀想な私の頭のため』
「もちろんそうだけど…」
『否定しろよ』
「本当はね、誰にも君に借りて欲しくないからだよ」
『?』

クエスチョンマークを掲げる私とため息をつく不二。

「…君は僕のものでいればいいから」


((僕だけの君、君だけの僕))



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