7.妖館ウォークラリー
卍里くんと残夏くんが帰ってきた次の日。今日は日曜日だから、あたしもゆっくりしようと…思ったのに…。…思ったのに……。 「ハイハーイ、では ルール説明です」 着替えてラウンジに向かうと、何やら全員集合(カルタちゃん以外は)していた。残夏くんがマイクを持っていつも通り卍里くんの話を遮りながら話を続ける。 「勝負方法は妖館ウォークラリー。現在妖館に居る全ての住人従業員からサインをもらって、早くここに戻ったチームの勝ち♪」 …と、いうのをやるらしいです。昨日の話からいうと、ただの卍里くんと双熾くんの勝負…ってことかな?…あたし、関係ないじゃんか…。もう少し寝たかったなぁ…。 「関係あるよー?君も昨日あの場にいたじゃない☆」 残夏くんの声があたしに向かう。ひゃ、百目さんめ…! 「では不戦敗ということで」「空気を読めえぇえ!!」 さらりと自分は興味ないと宣言する双熾くん。だよね、あたしも興味ないし…。 「せっかく凜々蝶さまと丸一日一緒に居られる日曜日なのですから…」キラキラと目を輝かせちよちゃんの手を取る双熾くんに続き、あたしも自分の意見を言う。 「わざわざそんなことしなくても…。どうせなら二人のお帰り歓迎会のほうが楽しいよー」「なッ…!?おいるり!お前どっちの身方だよ!!」「しいていうなら、ゆっくりしたいので双熾くんの身方です」「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 だって…なぁ。 「竜条さんも御狐神くんも少しは付き合ってやったらどうだ…」「付き合ってあげるちよちゃんを尊敬しますよ」 そうこう話してるうちに、残夏くんが告げる勝負開始の合図がラウンジに響いた。…やるんだ…。ちよちゃんに説得された双熾くんが次々とサインをもらいにいく。卍里くんも“ぜってぇ勝つっ!!”とラウンジから飛び出していきました。 「さて、と…」 ちよちゃん達にサインをしたし、自室へ戻ろう…。 「だーめ♪」「っ!? ……あぁ、残夏くんかぁ」 いきなり背後をとられたからびっくりしたんですけど…。背後からあたしに抱き付く…というか、そのままあたしを引きずりラウンジへと戻る。 「…あの、あたし、自室に…」「戻っちゃダメー」「な、なんでっ…」 あたしの日曜日なのにっ!! 「あたしもうサインしたし…用無いよね?帰っていいよね!?」「じゃあるりたん、ボクとお話しよっかー?」「だからなんでっ!?卍里くんのSSなんだからちゃんと勝負に参加しなよぉぉぉ!」「ボクはいいの☆ っていうか、なんでそんなに戻りたいのさ?」 じたばたと抵抗してたあたしの力が一瞬で抜ける。なんで戻りたいか…?そんなの……決まってる。 「昨日いいとこまで見たんだからっ、次で最終回なんだよ!?あのアニメっ!」「へ…?あ、アニメ…?」 残夏くんの力が緩まる瞬間、残夏くんの腕から脱出する。…え?なんで呆然としてるの?? 「あ…あのー…?残夏くん?」「え!?あ、あ…アニメなんて夜見なよー☆」「やだよ…。見たらお話しよ?」 いつもの笑顔に戻ったのに安心し、あたしは提案する。アニメは30分だしね。 「…じゃー、ボクも一緒に見ようかな?」「勝負はどこいったの…。まぁ、いいけど…?」 あたしは一つ溜め息ついて、“行こっか”と笑った。
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