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楽しい時間



みなさんこんにちわ!るりです。今日は青城学園の文化祭なのですよー。あたしたちのクラスは『逆野球拳』っていうのをやっています。ちょうどお昼休みなので、隣のクラスに遊びに行ってきました!
 
「ただいまーっ」
「竜条さんか、おかえりなさい」
「あのねっ、お土産持ってきました!」
「お土産…食べ物…?」
 
カルタちゃんが物欲しそうにあたしが持ってる紙袋を見つめる。
 
「食べ物じゃないんだけどねー…じゃーん」
 
紙袋をがさがさと漁って中身を取り出す。出てきたのは…
 
「………メイド服…?」
 
ちよちゃんが特に驚く様子もなくそれを見つめる。カルタちゃんに至っては残念な様子だ。
 
「隣のクラスはメイド喫茶だったんだー。だから余ってる衣装もらってきた」
「衣装なら足りてるはずだが…?あ、悪いが僕と髏々宮さんはこれから休憩終了なんだ」
「えー…そうなんだ…。じゃあ誰がいるかなぁ」
「渡狸くんならもうすぐ休憩だったな」
「ホントっ!?やったぁ」
「………不憫だな」
「え?何か言ったー?」
「い、いや…。じゃあ、な」
 
そそくさとちよちゃんはカルタちゃんを連れて戻ってしまった。残念、ちよちゃん達に着て欲しかったのになぁ。あたしが紙袋に戻そうとした時。
 
「ちくしょう、見つかっちまったぜ…」
「あ、卍里くん」
「おぅ、るりか…」
 
ひどく疲れている様子で休憩室に入ってきた卍里くん。あ、やっぱその服装だったんだ…。
 
「双熾くんたちならさっき帰っちゃったけど?」
「よかった…」
 
安心してました。なんでだろ?
 
「お前、まだ休憩なのかよ」
「うん。カルタちゃん達はさっき戻っちゃったけどね」
「…ふーん。で、その紙袋なんだよ」
 
右隣に置いてある紙袋を指差す。あたしは“あぁ、コレ?”と言いながら机の上にのせた。
 
「開けていーよ」
「?おぅ」
 
素直にがさがさとあけはじめる。引っ張りだした手にはふりふりのメイド服が。
 
「…なんだよ、これ…」
「隣のクラスからもらってきましたー」
「…誰が着るんだよこんなの」
「卍里くん」
「あっそ……………は?」
 
驚いてます!わ、なんか怯え始めた!
 
「お、俺が着るのかよ…!?」
「うん。はいっ」
 
あたしは笑顔でメイド服を押し付けた。大丈夫、きっと似合う!と、付け足して。
 
「るりが着ればいいだろ!?なんで俺なんだよ!」
「えー、卍里くんの方が似合うよー」
「そういう問題じゃないだろ!?」
 
そういう問題なのになぁ。……実力行使でいくか!
 
「…着てくれないの…?」
「っ!え、だって…」
 
涙目で首をちょこっと傾げてみました。わわわ、着てくれるかな…。
 
「…しょ、しょうがねぇな」
「やったぁっ!卍里くん好きーっ」
「好っ…!?」
 
 
 
楽しい時間
 
(やっぱり似合うっ!羨ましいなー)
(嬉しくないけどな…)

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