怖いものなんて何も無い。
と、皆からはそう思われている。
確かに怖いものは無い。
ただ自信が持てないだけだ。
恋愛には。
臆病者の恋
「……なにやってんですか、シスター。」
たまたまそこを通ってしまったリク。
彼が見てしまったものは、他の住民の家の影から誰かを覗くシスター。
「特に何もしていないが。」
「いったい何を…」
彼の目線の先に顔を向けるとそこにいたのは
「……名前さん?」
リクが河川敷に来る前からここに住んでいた名前。
「…シスター。」
「なんだ。」
「これは何もしていないとは言いませんストーキング行為というやつです。」
「私は別に名前を見ているわけではない」
「じゃあ何を見てるんですか。」
「……」
「はぁ…、そんな事しないで話しかけてくれば良いじゃないですか。」
「そ、そんな事できるわけがないだろう!」
「なぜ?」
「それは、その…、名前も忙しいだろうし、わざわざ私のために時間を割くなんてこと…、」
「………」
めんどくさい。
リクはただただそう思った。
「…せめて覗きは止めませんか。」
「覗きではない。」
「(…放っておくのが一番だ)」
リクはもう一度シスターを横目で見てからその場を後にした。
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(名前、あっちを見たら駄目よ。)
(どうして?)
(目が腐るわ。)