「シスター、そろそろいい加減に告白したらどうですか。」
開口一番にそう言ったリクの目は真剣だった。
「な……、何をいきなりそんな…、」
「そうやっていつまでも行動に移さないから名前さんも変な心配をするんですよ。」
「心配…?」
「俺とシスターがデキてるんじゃないかって。」
「なッ!!!」
目に見える程に動揺するシスター。
「そんなことあるわけ無いだろうが!気色悪い!!」
「俺だって不名誉です。これもそれも全部シスターが行動しないからですよ。」
「……」
シスターはしばらく考え込んでいた。
『あれ、シスターこんな所でなにしてるの?』
「「!」」
いきなり現れた名前に、今度は二人とも驚いた。
「…その……、名前…。」
『?』
「あ、俺用事思い出したんでこれで!」
リクは白々しい態度でその場を離れ、物陰に潜んだ。
「チッ……、リクルートめ…。」
『シスター最近変だね。具合でも悪いの?』
「え?あ、あぁ…。いや、大丈夫だ。」
『そう?何かあったら言ってね?』
「ありがとう…。その、それでだな…。」
『うん?』
「……いきなりこんな事を言うのも迷惑かもしれないんだがな…、」
『うん。』
「私は………………………」
『……』
「(何だあの沈黙……!)」
「…ハァ………、…よし。名前、私は……………名前の事が、好きだ。」
『!……私も、私もシスターのこと好き。』
「っ本当か…?」
『私が嘘ついてもシスターなら分かるでしょ?』
「……そうだな。」
シスターは自分の手を名前の手に伸ばしかけては引っ込めるのを繰り返していた。
『前もシスターとこんなことあったね。』
名前は自ら手を伸ばしてシスターのその手を掴んだ。
「!…名前と会うたびにいつも緊張してしまうんだ…。嫌われたくなくてな…。」
『それは私も一緒。不安過ぎてリクとの関係を疑ったくらいだもん。』
「それは本当に勘弁してくれ。あり得ない。」
「(だからそこで抱き締めろって!!)」
「(シスターどこまで臆病なんだよ!)」
影から見守るリクと星。
『なんか見られてるね。』
「……アイツら…。」
シスターはギロリと向こうを睨んでから、意を決したように名前の方に向きなおした。
「名前、えっと、だな……、…嫌だったら突き飛ばしてくれ。」
『え?………!』
シスターは名前の肩に手を置いて自分の胸に思い切り抱き寄せた。
「(ああぁぁあああシスターがついに行動したぁぁあ!!)」
「(俺らの努力がやっと報われた!!)」
「………」
『シスター心臓すごいね…。』
「しょうがないだろ…。」
二人はしばらく、お互い真っ赤になって抱き締めあっていた。
臆病者の恋
「名前やったな!」
『うん!ありがとうニノ!!』
「シスター次はデートですよ、デート!」
「無理だ!」
臆病な恋は少しずつ進展していく。