夢を見るーdreamー

夢を見た。



名前が遠くで誰かと会話している背中を見た。

その背中には見覚えがある。親しくなる前の、私が影からいつも見かけていた後ろ姿。

ああ、聖職者などと謳ってはいるものの次から次へと欲が湧いてくるらしい。

今でこそ会話するほどになったのだ、もう見ているだけのあの頃には戻りたくは無い。

誰と話しているのか、P子?ニノ?リク?星?
楽しそうに話すその笑顔をこちらに向けてほしかった。他に目を向けないで欲しい。

そう願いながら彼女に手を伸ばしても霧のようにぼんやりと消えてしまった。





その日は比較的早く起き、朝から色々な感情が渦巻いて、いつもより機嫌が悪かった。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「なぁ……今日のシスターどうしたんだ?」

「なんか怖いよ〜」


鉄人兄弟でも察知するようなシスターの不機嫌オーラ。


「シスターの機嫌周波が明らかに低くなっている。」

「ニノさん、それはツッコんだ方が良いんですか?」

「だがそれと同じくらいの別の電波も感じるな……」

「別の…?不機嫌以外にも何かあるんですか?」

「あぁ。」


じっとシスターを見るリクと鉄人兄弟だったが、特に何も感じなかった。


そんな時、




『違うよ〜、そんなんじゃないから。』

「だったら他に何があるってんだよ。」



「!」


「あれは…、名前さんと、星か?」

「わ!シスターのオーラが強くなった!」

「シスター目付き悪っ!」


シスターは二人、というより星を睨み付けながらそっちに向かった。


「ん?おっ、シスター…… バァン!!! ッギャアァァア!!」


そしてそのまま星に発砲したが、間一髪で星は避けた。


「い、いぃいいきなり何するんだよ!」


顔を青くした星が中腰で叫んだ。


「名前」

『…え?あ、っえ、なに?』


終始ぽかんとしていた名前。


「お前は…、」

『?』

「星の事が好きなのか?」
「はぁ!?」

『まさか。』

「おい、その反応は地味に傷付くんだけど。」

『私は別に星の事は、まぁ友達としては好きだけど…。』

「…ほんとか?」

『こんなことで嘘なんかつかないよ?』


ニッコリと笑った名前に安心したのか、シスターの目付きも元に戻った。


「それと……」

『どうしたの?』

「お……俺帰るな!」


リク達を見つけた星は足早にその場を抜け出した。


「(おぉ〜怖ぇ〜……)」
「(お前あの弾よく避けたな。)」
「(あれガチで狙ってたよな。)」







「名前はここからいなくなったりしないよな…?」

『…もちろん、いなくなったりなんかしないよ』


「……今日、悪い夢を見たんだ。名前が河川敷からいなくなってしまうような夢を」

『……』


名前はほんの僅かに震えるシスターの手を両手で包み込んだ。


ビクッ
「!」

『私の手、あったかい?』
「…あぁ。」


『私はここにいるから、もしいなくなりそうだったらシスターが捕まえててよ。』

「!…分かった。」


そのままシスターは微弱ながらも、名前の手を握り返した。


「ありがとう。」

『うん!』









「分かったぞ、シスターの不機嫌以外の感情が。」

「え、何ですかニノさん。」

「”不安”だ。でももう大丈夫そうだな。」


「あぁ〜シスターそこで抱き締めろよ……!」

「シスター傷口から血が出てるよ!」

「メンタル弱!ていうか星ってシスターの好きな人…、」

「あ?知ってるよ、んなこと。誰でも分かるだろ。」

「まぁ、そうだけど。さっき名前さんと何話してたんだよ。」

「言ったら名前に嫌われるから無理。」

「はぁ?」




ーーーーー

(シスターに嫌われる夢見た?)
(うん…。夢見悪い…。)
(お前ってほんとシスターの事好きだな。)
(違うよ〜、そんなんじゃないから。)
(だったら他に何があるってんだよ。(……どいつもこいつもこれで隠してるつもりなのか?))




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -