Title | ナノ





リクが会いに来てから3時間後、朝の9時にまた誰かがドアを叩く音が聞こえた。


『はーい、誰ー?』

「おはよう名前」

『ニノ!おはよ…、っていうかどうしたの?まだ午前だよ?』


日曜日でもないのにこんな時間にニノが起きるなんて。


「今日は名前の生まれた日だろ?
こんな日に寝てるなんてもったいないからな。誕生日おめでとう、名前。」

『ニノ…!ありがとう!リクといいニノといい、なんでこんな優しい人だらけなんだろう…!』

「リクも来たのか?」

『うん。これもらったんだ!』


「首輪か…?」

『ネックレスだよ!』

「そういえばプレゼントがどうとか言っていたな…。それのことだったのか。綺麗だな。」

『ふふ、ありがとう。』

「プレゼントか…。そうだな、なにか…」


そう言うとニノはポケットをあさりだした。


『い、いいよ、ニノ!そんな…。言葉だけでも十分嬉しいから。』

「お、これいいな。名前、プレゼントだ。」


そして手に渡されたのは小さな袋。


「この前P子にもらったんだ。甘くておいしいぞ。」


中を開けると小さな黄色いキャンディが一粒入っていた。


「ごめんな、ほとんど食べてしまって一個しか残ってないんだ。」

『私アメ好きだよ!ありがとうニノ!』

「そうか、良かった。」


『あ、おいしい…』

「みかん味だ」

『レモンのような気がするけど、ニノがそう言うならみかん味にしとくね』


「じゃあ名前、いい1日を過ごせよ。」

『うん!ありがとうニノ!』


ニノは軽く笑ってから帰っていった。



キャンディひと粒

それから長い間名前の家の中はレモンの香りで溢れていた。





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