ある程度回復し、もう歩けるようにはなった。
その間もシスターは家事を全てこなしていて、ほんとにシスターはお嫁さんにほしいタイプだなと思った。
『あ、雑誌ももう最後の方だ…』
思えば酷かったもんだ。
ことあるごとに襲われて耐え抜くなんて私ってすごいな。
シスターは私が完全回復したらきっと事に及ぶだろう。あの欲望の塊みたいな男なんだから絶対そうだ。
『で、そんな彼を最終的にどう鎮めんのかね…。…
【5.あきらめてドMの道に目覚めなさい】
』
『ふっざけんなコラァァアア!!』
バシーーン!!!!
『最終的に諦めかよ!!諦めたらそこで試合終了なんだぞバカ野郎!!』
床に思い切り叩き付けた雑誌を睨み付ける。
『今までの努力なんだったの…。住人に恥さらして襲われて襲われてちょっと良い雰囲気になって結局諦めんのかい!』
ダンッと拳で床を叩く。
「名前朝食出来たぞ……って何してるんだ。」
『絶望してた』
チラッとシスターが目線を下ろして私の前に落ちている雑誌を拾った。
「なんだこれは?」
『500円荒川に投げ落としたみたいな感じの気分にさせる本。』
シスターは首をかしげた。あ、その動作可愛いよ。
『資源回収いつだっけ…』
「昨日。」
『うわ。今日ダメだ、とことんブルー。』
シスターから返された雑誌をいらない紙のところに重ねる。シスターは雑誌に興味なんか無いから中を見たりはしないのだ。
「早く食べないと冷めるぞ。」
『ん、あ、今食べる。』
朝の日課といえばシスターからキスされるのももう慣れたものだ。
最初の頃は、ほんとちゅー好きだな外国人は!とか言って照れてたのに。不意討ちのはいまだに慣れないけど。
慣れって怖いわ。いずれシスターのドS行為にも慣れてきそうで怖い。
「あ、そこ弾薬置いてあるから。」
『ひぃ!何で!』
「間違えた、手榴弾だった。」
『いや、危険度上がったしどっちにしろそんなもの床に転がしとかないでよ…!』
きょろきょろしながら居間に向かう。
そんな様子をシスターはあの意地悪な笑顔で見ているのだ。
やっとの思いで朝食にありつく。
『危ないから早く片付けてよ』
「気が向いたらな」
きっと当分は片付けないなくそ、味噌汁おいしい。
『なんであんなもの散らばしとくかなぁ』
「朝一で名前の怯えた顔が見たかったから」
『…変態』
「なんか言ったか」
『なんも』
「嫌だったら出ていっても良いんだぞ」
そんなこと言われたってなぁ…
『出ていくわけないでしょバカ!』
その言葉にシスターはまたクックッと笑う。
「さて、名前も元気そうだしヤるか」
『最低信じらんない。』
受け流してみたけど、この男目が本気だ!
「大丈夫、夜にするから。」
テーブルから身を乗り出して口付けされる。
なにが大丈夫!?
反省するとこ間違ってるだろ!
『(でもきっと本気で断れないんだろうなぁ…)』
あまりにも優しい目で見られるから、これだから嫌いになれないんだ!
あきらめてドMの道に目覚めなさい
彼のドSな行為は愛を具現化したもので、それを断れない時点であなたはすでにドMなんです。
-end-
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