『星、もう話かけてこないで』
「…は?」
河川敷のお昼時。
私の所に来た星にいきなりそう言い放った。
「え、え?なに?俺、なんかした?」
『たくさん』
「何した?そんな、話しかけてくんななんて…」
『何も考えないで私の所に来ないで。』
「え?」
昨日はリクとニノが話しているのを見かけた。二人とも見つめ合う瞳が優しくて、キラキラしていた。
『私の気持ちも考えないで勝手な事言わないでよ…』
「…名前」
知らないうちにその関係に嫉妬していたんだと思う。お互いがお互いを好きだと思っているその感情に。
自分は?と考えた時に、星が何とも思ってないからこそ気さくに接してくるその態度に一喜一憂してしまう自分が切なかった。
『もう…星は何も考えてないって分かってるから、余計に虚しくなる』
「俺、別に何も思ってないわけじゃない」
『どこが…!』
「だから…、あー、その、な?」
『…分かんないよ。』
「あのな!俺だってなにも考えないで毎日話しかけたりしねぇっつの!!」
『はぁ?』
「あー、もう!俺、多分お前が好きなんだよ!!でもお前には好きな奴いるし、諦めらんねぇし、その上話しかけてくんなって、酷すぎるだろ!!」
ビックリした。
星からそんな事言われるなんて夢でも見てるのか。
『…』
「なんか言えよ!!俺今すっげぇ恥ずかしいんだぞ!?」
『あ…、うん』
「…はぁ。絶対言わないって決めてたのに…、言っちまったー…」
『星…』
「名前、頑張れよ!俺に告白させたんだからお前だって言いに行け!」
『星泣かない?』
「な、なか、泣かねぇよ」
『…じゃあ私も覚悟決める』
「おう、頑張ってこいよ」
『うん、じゃあ聞いて!』
「ん?おう、なにを?」
『私、星のこと好き!』
「…………え、え?なに、もう一回。」
『好き』
「誰が…?」
『私が』
「誰を…?」
『星を』
「好き…?」
『好き』
「マジで?え、俺のこと好きなの?」
『ずっと前から好き』
「………!」
星はそれから2分程停止していた。
『整理できた?』
「お、おう…。えー…、ヤバい。めっちゃ嬉しい。」
『私も』
「なんでそんな余裕なんだよ…」
『私も結構余裕じゃないけど?』
「嘘つけ」
『ふふ、星、ありがとね』
「お、おぅ、俺も、ありがとな」
彼の瞳はキラキラしていた。その瞳に映る私の瞳も。
え、俺のこと好きなの?
きっと私は、これからも彼の言葉に混乱させられるんだろう。
それでも好きだよ
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