男の子大作戦




「おい、星。大丈夫か?」


シスター事件の翌日、リクはラストサムライと共に星のトレーラーを訪ねた。


「全然大丈夫じゃねぇよ…」

「かなり消沈してるでござるな…。」


女の子たちによる名前のための作戦はかなり効いているようだが、あまりに星が可哀想なので唯一作戦を知っているリクが助けに来たのだった。


「元気出せって。シスターは誰にでも優しいだろ?名前さんの事は妹みたいに思ってんじゃないか?」

「そうでござるよ。シスターの幼女好きは今に始まった事ではないでござる。」

「その発言もどうかと思うけどな。」


ただリクに『星をなぐさめる』とだけ言われてついて来たラストサムライ。
彼もさらりとひどい事を言うが、彼なりに星を勇気づけているのだ。


「よし、こういう時は悩むより行動が大事なんだ!」

「…どんな行動をするって言うんだよ。」


「名前さんに猛アピールしてこい!」

「は、はあぁあ!?何でそんなこと…!!」

「星!名前殿がシスターに盗られても良いでござるか!?」

「!!」


「男なら行動あるのみだぜ、星。」

「リク…、ラストサムライ…、そうだよな、悩んでたって意味ねぇよな!!よし!だったら俺は何をしたら良いんだ!?」

「その意気だ…、星。(ホッ)
じゃあまずはちゃんと向き合って話してこい!!」

「っ!!そ、それは無理だ!!」

「何故でござるか!」

「そんなの…、恥ずかしいからに決まってんだろ!!10m先から見るだけでも恥ずかしいんだよ!!!////」

「乙女か!!このヘタレ野郎!!!ったく、お前普段名前さんと目合わせて話したこと無いだろ。」

「当たり前だろ!?」

「それが駄目なんだよ!とりあえず少しでも良いから何か話してこい!」

「勇気を出すでござる!」


こうして星は無理やり外に出されて、名前を探すことになったのだった。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「(いつもはあっちから飛び付いて来んのにな…。最近じゃ話しかけて来ることも無いし、何かあったのか…?)」


ずっと歩いていると、やっと会いたかった人物を見つけた。


「あ、…っ名前!!」

『ん…?……!!星!!!』


名前は星を見つけた瞬間目を輝かせて、走り出そうとしたが、ハッとして足を止めた。


『あ、駄目だ!我慢しなきゃ…。』

「な、なぁ名前。ここ最近ずっとおかしくねぇか?」

『そ、そんなこと無いよ!気のせいだよ!!』

「…やっぱりシスターと付き合ってるから、俺と話さないようにしてるのか…?」

『?シスターとは付き合ってなんかいないけど?』

「…え?だって、この間二人で手繋いでさらには抱き合ってただろ…?」

『え…?…あ!あの事か!(まったく覚えて無かった!)』

「なのに付き合って無いって…。」

『(…なんて誤魔化そうかな…。…あ、)
私シスターと手繋ぎ鬼してたの!だからだよ!!』

「て…、手繋ぎ鬼ィ?シスターとか!?」

『うん!あとは鉄人兄弟もいたし、ステラもいたよ!!途中で転んでシスターに抱えてもらったけど。』


我ながらよくこんな嘘がペラペラと言えるものだ、と名前は思った。


「そうだったのか…はぁー…。」

『何!?もしかして星、ヤキモチ!?』

「は!?ちげぇよ!バカじゃねぇの!?バーカ!!!」

『バカじゃないよ!』


「探したわ、名前。手伝って欲しい事があるの。」

『あ、マリア!今行くね!ばいばい、星!!』

「あ…、おう。」






ーーーーーーーーーーーーーーー






「星!ちゃんと話せたじゃないか!」
「星もやればできるのでござるな!!」

「俺…、ちゃんと話せてたか…?」
「あぁ、よくやったな!」

「名前今日俺に笑ってくれたよな…?」
「星との会話に笑っていたでござるよ!」
「シスターとも付き合って無いって言ってたしな!」

「俺嫌われてないのか…?」
「「全然!!」」

「よ…、良かった…!」
「「(まったく、世話のやける…。)」」


星へのフォローに全力を通した二人であった。








一方、女の子グループ



「ステラに鉄雄に鉄郎、いい?昨日は名前と手繋ぎ鬼をしていたっていう設定にするのよ。」

「「「はーい!」」」


従順の早い女の子達。


『私、久しぶりに星と会話した…。星と話したよ!!』

「ふふ、良かったわね、名前。」




ーーーーー

(ところでマリア、手伝いって?)
(あぁ、特に何でもないのよ。ちょっとあのイチャイチャした空気に耐えられなかっただけ。)
(イチャイチャ?誰と誰が?)
(もう、誰でも良いわ。)




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