家と二人の距離





『シスター!私今日から家作り頑張ります!』

「あ、あぁ。そうだな。ニノたちも呼んでこよう。」


シスター、どうしたんだろう?


『じゃあ私ニノたちを呼んで来ます。』


時間がある時に聞いてみよう。



ーーーーーーーーーーー



こんこんっ
『星ー』

「あー?誰だ?」

『私』

「うわ!リ、リリー!どうしたんだよ!」

『これから家作りしようと思って。星の家(トレーラー)が一番近かったから最初に呼びに来たの。時間空いてる?』

「空いてる!空いてる!!全然暇だから!!」

『じゃあ一緒にニノたち呼びに行こう!』

「お、おう!(俺、一番最初に呼ばれた…)」



星は小さな喜びを噛みしめながらリリーと一緒にニノを呼びに行った。



「お、ついに作り始めるんだな!」


ニノは出会った後、他の人たちを呼びに行った。







星にニノにP子にシスター、マリアさんにシロさんにラストサムライさんにビリーさんにジャクリーンさん。
小さくても頑張ってくれそうな鉄人兄弟たち。大きくても全く頑張ってくれなさそうな村長。

とにかく、たくさんの人が来てくれた。



『皆さん…ありがとうございます!こんなに来てくれるなんて…』

「きっとリリーが可愛いからよ!」


P子が親指をたててそう言った。


『そんなこと…』

「あら?リリーちゃんは可愛いわよ。自信を持ちなさい。」

『マリアさんまで…』

「おら、そこの女子校軍団!確かにリリーは可愛いけど!さっさと材料運ぶぞ!」

『(なんか今星にさらっと恥ずかしいこと言われた…)』


女子に言われるのは良いけど、男子に言われるとなんだかむずかゆい。




ーーーーーーーーーーー




皆と話をしながらでも作業は続いていって、山小屋程度の大きさの木の家ができた。



『すごい…』

「おー、こりゃ教会の次に立派なんじゃねぇか?頑張った甲斐があったな〜。」


基本ずっと寝てた村長が口をはさんできた。


『村長何もしてなかったじゃないですか。』

「温かい目で見守ってただろうが。」

『でも、すごいです。正直こんな立派な建物を建てることができるなんて思っていませんでした。』



皆満足そうな目でそのミニログハウスを見ていた。ただし、シスターだけが複雑そうな顔をしている。


「じゃ、もう暗くなってきてるし、後の色々はまた明日な。」


村長の言葉で今日の作業はお開きになった。


『皆さん、本当にありがとうございました!シスターも、教会に帰りましょう。』

「…あ、あぁ、そうだな。」



やっぱり今日のシスターはおかしい。




『シスター、少しお話しませんか?』




ーーーーーーーーーーー




「なんだ?リリー」


教会に入って、ソファに座りながら話を始めた。


『シスター、何か隠していませんか?あきらかにおかしすぎるんです。』

「…」

『私には話せないことですか…?』


そう思うと、少し落ち込んだ。


「い、いや、その…、こんなことを言っても迷惑になるかもしれないのだが…」

『構いません。秘密にされるほうがつらいです。』

「…リリーは早く自分の家を持ちたいと思うか?」

『それは…はい。』

「…だろうな」



『ここにいてもシスターの迷惑になるだけじゃないですか。』

「…迷惑?」

『だから、私がここでずっとお世話になってシスターに迷惑をかけるのが嫌なんです』

「…それは違うぞ。」

『何がですか?』

「私は別に迷惑だなんて思っていない。むしろリリーにはここにいて欲しいくらいだ。」

『シスター、でも、』

「お前がどうしても家に住みたいと言うなら止めはしない。ただ、本音を言えば、ずっとここにいて欲しい…」



『…本当にずっとここにいて良いんですか?』

「そうして欲しいと言っているだろう?」

『じゃあ、これからもここに住むことにします…』

「リリー」

『え?…きゃあ!』


いきなり腕をひかれて、隣にいるシスターに抱きしめられた。


『し、しシ、しすたー!?何を!』

「すまん」

『いや、すまんじゃなくて、』



恥ずかしすぎて急いで避けようとしたけどチラッと見えたシスターの顔がとても嬉しそうで、もう何もできなくなってしまった。


『シスターって、寂しがりやなんですね。』

「……」


だいぶ本来のシスターの気持ちとは違うが、今は何でも良かった。


『シスター、そろそろ離してください…』

「あぁ、すまん。」


やっと離してくれたシスター。


『私…、あの小屋をお店にします。せっかく皆が作ってくれたものだし。』

「そうだな。」

『シスターも何か買いに来てくださいね。』

「あぁ。教会に飾るとする。」


それから、小話をしながら夜が更け、少し遅めに就寝した。



少し距離の縮まった二人。



ーーーーー



(私はいったいなんてことをしてしまったんだ…いや、嬉しかったが、やはり…)

(シスターってあんなに寂しがりやだったんだ…。やっぱり夜の教会とかって怖いのかな…)

 

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