おすそわけ






日も温かくなってきた頃、今年になって初の店開きになった。


『新しい花も買わなきゃな〜』


軽く背伸びをしながら中の整理をした。


「あれ、リリーさん。今日からお店開くんですか?」

「久しぶりだなー、リリーのお店。」


そこにやって来たリクと星。


『二人ともおはよう。今日も仲良しだね。』

「き、気持ち悪いこと言わないでください!」
「それはこっちのセリフだ!!」



「「あー!お花屋さんやってるー!!」」

『あ、鉄郎と鉄雄もおはよう。』

「今日からお店やるの?」
「僕、またお花欲しい!」

『うん、良いよ。どれがいいかな〜…。あ、桜があるし…、桜のお菓子でも作ろうか?』

「お菓子!?すごーい!食べてみたい!!」

「作って作ってー!」

『じゃあお昼になったら教会の台所借りて作るね。』

「僕達も見てて良い?」
「俺も見に行って良い?」


わくわくしながら問いかける鉄人兄弟と星。


『そんな見てもつまらないと思うけど、来るのは全然構わないよ。リクは?』

「俺はニノさんの魚釣りに付き合う約束してるんで。」

「くそリア充が。」

「ひがむな。」





「じゃあお昼に教会に集合ー!」



かくして、リリーのお料理教室は始まった。





ーーーーーーーーーーー





「リリーは良いが、他の奴らは教会内をあまり荒らすなよ。」

「見てるだけだから大丈夫だって。」


「リリーさん!何か手伝うことある?」

『うーん、そうだなぁ…。じゃあ枝から花を取ってもらえる?』

「「はーい!」」





「なんか親子みたいだ。」

「なにしろあいつはステラの公認の母親だからな。」

「俺リリーと話してるとステラにめっちゃ睨まれたことあったな…」

「お前は公認の仲じゃないんだ。」

「さらっと酷いこと言わないでくれ。」





ーーーーーーーーーーー





「できたよー!」


3時間後、お皿いっぱいの桜餅を抱えた鉄人兄弟が居間に出てきた。


「ねぇねぇ、リリーさん!これ皆に配りに行こう!」

『じゃあまずはシスターと星にあげよう。』

「うん!はいどうぞ!」



「お、サンキュー!」

「ありがとう、美味いな。」


『違う人にも渡しに行こっか。』
「「うん!」」



そうして3人は他の住人を探しに行った。





「あ!あれP子ちゃんじゃない?」

『本当だ。おーい、P子ー!』


「ん?あら、リリーに鉄人兄弟たち!どうしたの?」

「これリリーさんと作ったの!P子ちゃんにもあげる!」

「わぁ!嬉しい!3人ともありがとう!」


一口で食べきったP子。


『(…この前ダイエットするって言ってなかったっけ…)』






次に会ったのはビリーとジャクリーンだった。



「リリーちゃん聞いて。」

『はい、なんですか?』



会った瞬間に距離を詰められたリリー。



「50話にしてようやくビリーが登場したのよ!!」

『…名前だけなら何回か出てたんですけどね。申し訳ないです。』

「リリーさんたち何話してるのかなぁ。」
「?よく分かんないけど、はいこれ!皆で作ったの!」

「まあ!ありがとう、嬉しいわ!はいビリーにも。」

「桜餅か…、ありがとな。」



快く受け取ってくれた二人。



「よし!次行こう!」



そのあともマリア、ラストサムライ、シロ、ステラ、村長と配り終わった3人。






「残るはニノちゃんと……、」
「………リクさんだね。」



「「受け取ってくれるかなぁ…」」

『?』



不安がる鉄人兄弟と、よく分かっていないリリー。

3人はニノの釣り場へと向かった。





ーーーーー


(受け取ってもらえなかったらどうする?)

(マリアさんの所に派遣しちゃお!)

(そうだね!)


((……悪寒を感じる!))

 

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