「はい、お前らちゅうもーく!」
黒板の前に立って指揮をとる星。
場所はリクの青空教室。
本日、第二回青空会議が開かれた。
「いいか!敵はあらゆる所に潜んでいる!それを証拠に今日はラストサムライも加わった!!」
「最終的なライバルはシスターでござるな!」
「「僕達は見学ー!」」
いつものメンバー、星・リク・鉄人兄弟、そして新メンバーのラストサムライがいた。
「昨日の今日でお前ら二人に何があったんだよ…」
今日は生徒側となっているリクが頬杖を付きながらたずねた。
「男の契りを…」
「…交わしたでござる!」
リクは「…あ、そう。」と興味無さそうに返事した。
「それよりも一回目は拙者についての議題だったみたいだが…、今日は何について話すでござるか?」
「よく聞いてくれたな!今回の議題はこれだ!!」
乱雑な字を黒板に書き散らす星。
「あれ?リクさんが前に使ってたホワイトボードはどうしたの?」
「前回俺が蹴飛ばした時に壊れた。」
「よし!見ろ!!」
バンッと叩いた黒板に書かれた文字。
【俺達の本当の敵は誰か】
「……」
「いや、敵はもうシスターだって結論出てるだろ」
「「え?」」
「え?」
いきなり会話に入り込んできたのは今まで雑談をしていた鉄人兄弟。
「え、お前達星のこと敵だと思ってるの?」
「だって僕も鉄郎もリリーさんといっぱい遊びたいのに皆邪魔してくるんだもん…」
「星さんだって話してる途中で割り込んでくるし…」
「「僕達、将来リリーさんと結婚するんだから!!」」
「「なんて純粋な愛!!」」
「ま、眩しい…」
「不毛な言い争いをしてる俺達が醜く見える…」
「…取り敢えず候補には俺とラストサムライとリクルートと、鉄人兄弟…っと。」
「ちょっと待て。」
「どうしたでござるか?」
「おいコラ星。なんで俺まで混じってるんだ。」
「お前だって十分敵だ。」
「意味わかんねーよ!俺にはニノさんがいるんだぞ!」
「予防線を張ってるくせに何を言ってんだか…」
「ぶん殴るぞ。」
本人の手によって直接消された【リクルート】の文字。
「あとは…」
そこに加わった【シスター】の文字。
「はいここテストに出まーす。」
黄色のチョークで下線を何重にも引く星。
「何のだよ。」
【星・ラストサムライ・鉄人兄弟・シスター】
「…これくらいでござるか?」
「まぁ、シロさんはリリーさんのこと娘みたいなもんだと思ってるし、ビリーさんは面識あるかも分かんないしな。」
「村長は父親兼母親のようなものでござるしな。」
「……いや、敵は男だけとは限らないぜ…」
「「!」」
「も、もしかして…。」
「そう、俺とラストサムライとリクが昨日酷い目にあわされた時の首謀者は誰だ…」
「ハッ、リリーセコム…!」
「「マリア!!」」
「マリアさんってそっちの気があんのか!?」
「いや、あっても不思議じゃない!男は排水溝のカビくらいとしか思ってないからな!」
「……そういえばラスボスだもんな…、マリアさん…」
星は何も言わずにマリアの名前を書き加えた。
「も、もういないでござろう!?」
「そうだな…、後は友達だし…」
【俺達の本当の敵は誰か】
【星・ラストサムライ・鉄人兄弟・シスター・マリア】
今回の会議はひたすら人の名前を書くだけで終わった。
「……ん、…あ!リリーさんだ!!」
「あ、ニノちゃんと一緒にいる!」
途中から寝ていた鉄人兄弟が覚醒し、指を指した方向にはリリーとニノがいた。
「ニノさん!」
「そう言えばニノちゃん、リリーさんとデートするって言ってた!」
「あぁ、あのデートという名の散歩な…」
「違うよ!ニノちゃん雑誌見て研究してたもん!」
「「!?」」
「リリーさんを満足させたいから勉強しなければ、って言ってた!」
3人は影から2人の会話に耳をすませた。
『すっごく楽しかった!こんな楽しかったのっていつぶりだろう!』
「そうか、良かった。リクとした時のデートとは違ったが私も楽しかったぞ!」
『ニノって以外とエスコート上手いんだね。』
「勉強したからな。距離感は近くても良いんだな。リクとした時は少し疲れた。」
『ニノが男の子だったら恋人になりたいな〜』
「私も生まれ変わったら今度はリリーの恋人になろう!」
『約束ね。』
「あぁ。」
「……百合だ…」
「ニノさん…、俺とのデート疲れたって…」
「しかも来世でのお付き合いを約束したでござるよ!」
「僕達も行こう!」
「うん!」
その後、3人は黒板に書かれたニノの名前を複雑な顔で眺めてから、鉄人兄弟に抱き付かれているリリーを見つめた。
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(…こんなところにシークレットボスがいたなんてな…)
(ヤバい、俺今泣きそう。)
(精進しなければ……)