似た者同士






早朝9時。河川敷の草むらにたたずむ2つの影があった。



「よく来たなラストサムライ……」

「星のほうこそ…」



その二人の姿は、高台にあるリクの家からでもはっきり見えた。


「うわ…、あいつらこんな早くに何やってんだ」







「星…、星はニノの事が好きなはずでござろう?リリー殿に近付くとはどういうつもりでござるか?」

「そういうお前だってP子の事が好きだって言ってたじゃねーか!」

「拙者はP子殿もリリー殿もどちらも好きだと言ったでござるよ!星はニノが好きなだけでリリー殿が好きだとは言ってなかったでござろう!!」

「な…!…っ俺は…、……俺だって、………ニノも好きだけどリリーも好きになったんだよ!悪いか!!」

「一緒でござるな!!」

「そうだよ!!」



「「………」」



ぜーはーと息を切らしながらお互いを睨み合った。



そして、




ガシッ「ならば今日から真のライバルでござる!」

「あぁ!負けねーぜ!!」


握手を交わし、ライバル宣言をした。




「なんだあいつら……」


リクは冷や汗をかき、窓の外から目をそらした。





ーーーーーーーーーーー





「星はいつから自分の気持ちに気付いたでござるか?」

「んー…、買い物しに行くときに……俺のスッピン見せた時。」

「スッピン見せたでござるか!?」

「ああ、俺は本気だぜ」

「負けないでござるよ。」

「あぁ、俺だって!」








「さっきから聞いてりゃ、お前らアホだな。」


見るに見かねて、下りてきたリク。


「なんだよリクルート!聞いてたのか!?」

「今そう言っただろ。」

「どこがアホ要素になるでござるか!」



「お前らの敵はお互いじゃなくて"アレ"だって言ってんの。」


リクが指で指した方向にいたのはリリーを囲む鉄人兄弟とステラとシスター。



「「……」」

「あのファミリーに入れるようになるのが第一歩だ。」


二人は瞬時に無理だと思った。


「さらには守備、」


ピッと顎で示したのは、

後ろからハサミをシスターに構えるマリア。


「「……」」

「シスターを倒した後に現れるラスボス。」


二人は膝から崩れ落ちた。


「俺達は、無力だ…!」

「なんと大きな壁…!」

「だろ?だから諦めたほうが…、」




「「だからこそ燃える!!」」




ガクッ

リクは盛大に滑った。


「お前らな…」

「リクはもう恋人がいるからそんな諦めろだなんて言えるんだよ!」

「人でなし!」


「何?この逆ギレ」


星とラストサムライは一層握りしめた拳に力を込める。


「絶対諦めねぇ!!」

「何と言われようと!」

「お、おい、そんな大声出すと…、」





「俺はリリーが好きだ!!」
「拙者はリリー殿が好きでござる!!」






シン…と静まり返る周囲にリクは顔が青ざめるのを感じる。

ふと視線を端に向けるとそこにはリリーと鉄人兄弟の姿は無く、その代わりに




シスターとマリアがこちらをガン見していた。






「おい…逃げろ!!」

「え?」「なんでござる?」










その日の河川敷には朝から大きな悲鳴が響いていた。




ーーーーー


(なにこのリリーセコム…)

(理不尽でこざる……)

(ていうかなんで俺まで…)

(何か言ったか)
(何か言ったかしら)

(((いえ、何も)))


 

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