『それで、結局どうなったの?』
「さあ?」
あれから3日が経ったが、気付けば周りから会社の人達はいなくなっていた。
『いつの間にか誰も河川敷に入って来なくなったね。』
「もしかして計画が中止になったとか!?」
「私達はここにいられるのか!?」
『うーん…、そうだと良いけど。』
星とニノと3人で話しているとき、遠くからリクが走ってきた。
「ニ、ニノさん!リリーさん!父さんの計画が中止になったみたいなんです!!」
『本当に!?』
「おぉ!」
『でもいったいどうして?』
「それが分からないんです。俺もさっき会社で聞いただけで…なんででしょうね。」
「何はともあれ良かったじゃねーか!俺が流れ星になったからだな!」
「俺もな」
「よし、こういう時はお祝いだ!パーティーやるぞ!」
『わ!』
いきなりリリーの背後に現れた村長。
「良いなそれ!私は皆を呼んでこよう!」
「おー、教会前でやろうぜ。」
「じゃあ俺ギター取ってくるかな。」
『私はシスターに知らせに行こうっと。』
そして各々散らばっていった。
ーーーーーーーーーーー
『って事で中止になったみたいなんです!』
「そうか…それは良かった。」
『村長が教会前でパーティーひらくって言ってました。』
「村長のやることだな。よし、料理を用意してこよう。」
『シスター、急なパーティーに慣れてますね。私も手伝いますよ。』
「良いのか?すまんな。」
シスターは短時間の中でも手際よく美味しそうな料理を作っていった。
『そう言えば村長に久しぶりに会った気がします。』
「そうか?」
『ここ最近は見てませんでした。生きてて良かったです。』
「死んだと思ってたのか。…お、出来たようだな。皿を取ってくれ。」
『はい。どうぞ。』
たくさんの料理を持って行くと、外にはもうすでに住人達がいた。
「あ!リリーさーん!」
「僕たちここにいられるんだね!」
キャッキャッと足元ではしゃぐ二人は本当に喜んでいるようだった。
『また皆でたくさん遊ぼうね!』
「「うん!!」」
「じゃあ皆そろったところで、かんぱーい!」
その村長の一言で、住人達のテンションは一気に上がった。
『本当に何で中止になったんだろうね。』
「さぁな。でも良かったじゃねーか!」
『うん!星もいろいろしてくれてありがとう。』
「あ、当たり前だ!!俺はなんたって…、その…、お前が困ってたら何でもするし…?むしろもっと頼ってほしいぐらいだし…」
「それなら拙者も頼ってほしいでござる」
『あ、ラストサムライ。』
「オイ!出てくんなよ!」
「抜け駆けはさせないでござるよ、星。」
「んだよ、良いだろうが!!」
「良くないでござる!」
「何だやんのか!?」
「挑むところ!!」
「「明日の朝に決闘だ!!」」
互いに挑戦状を突き付ける二人。
そんな二人からとっくに目を離していたリリーはステラにご飯をよそってあげていた。
「いつかのシスターとラストサムライみたいだな……」
「呼んだか?」
「呼んでないです!まったく!!」
シスターは疑いの目をリクに向けるが、リリーに呼ばれたのですぐに戻っていった。
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「どうしたリリー」
『シスターちょっと見てくださいよコレ。』
リリーが指で差したのはきゅうりのぬか漬け。少なくとも自分が作ったものではない。
「いや〜俺が張った河童結界に使ってたヤツを並べたんだけどこいつが拒否するからさぁ。」
『結界だかなんだか知らないですけど、それってつまりお清めの塩を料理に使うようなものじゃないですか。バチ当たりにも程がありますよ。』
「だってきゅうり食べたい。」
『駄々こねてもダメです。』
「ちぇっ。今度風邪引いても生茹で汁やらねーからな。」
『好都合です。』
「じゃあ村長、これ下げても良いですか?」
「…分かったよ。好きにしろー。今度P子に作ってもらおう。」
『(P子喜ぶな…)それより村長、騒動の間何やってたんですか?ずっと見なかったですけど。』
「んー?寝てた。」
ガクッと崩れ落ちた。
『しょうもない……』
「まぁ、良いじゃねーの。プラマイゼロで。」
ガシガシとリリーの頭を撫でた。
『……村長がいる時はいつもプラスにしかなりませんよ』
「お、誉めてくれてんのか?」
『呆れてるんです。』
そこでシスターが戻って来たので3人でいろんな事を話した。
この人といると河川敷が急に明るくなるから、不思議だ。
この”人”、じゃなくて河童か。
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(酒飲むかー)
(もう夜も遅いんだから止めた方が良いですよ。)
(どうせお前は飲めないだろ?)
(そうだな、間違って飲んだりしたら大変だぞ。)
(私は成人してます!!)