【追い出されるのはもう嫌だ。】
いつだったか、ニノが言った言葉。
あの時ニノが言っていなかったら、私が呟いていたかもしれない。
青空4
独りで一つの家に暮らして、きっと人間は大人になるにつれ独りで生きていくものだし、独りで生きていけるものだと思っていた。
でも荒川の河川敷に来てからは何もかもが違ったのだ。
私を迷惑がらないで受け入れてくれたシスター。
私の本当の笑顔が好きだって言ってくれたニノ。
私を家族だって言った村長。
この歳で女子会なんてやると思わなかったし、心の底から楽しかった。
あとは………なんかいろいろしてくれた、星とかリクとか…、他の皆。
とにかく温かい場所に迷いこんだ。
涙も笑顔もとっくに忘れたはずだったけど。
私に心からの笑顔を取り戻させてくれた皆と、離ればなれにはなりたくない。
【教会に帰ろう。】
今の私には帰る場所がある。
この場所を追い出されたくない。
何が出来るか分からないけど、皆のために何かしたいと思った。
そんな、空が綺麗な日のこと。
とりあえず目に溜まった涙を拭いて上を向いた。