再開とお泊まり会





『雪ももう完全に無くなりましたね。』

「そうだな。もう春か。」


河川敷も雪が溶けて、温かくなってきた。



ダダダッ
「リリー!」

『どうしたのニノ?』

「P子が帰ってきたんだ!」

『え!本当!?』


そのまま3人で畑まで行くと、そこにはすでにたくさんの人がいた。


「ん…?あ!リリー!!」

『P子!おかえり〜!』


そして抱き合ったP子とリリー。どさくさに紛れて鉄人兄弟も。


「畑ありがとう!ばっちりだったわ!」

『そう?良かった!』

「村長に変なメス河童が着いたりしてないわよね!?」

『それは無いんじゃないかな!』

「そっか!」


うふふあははと幸せなオーラが、回りに漂っていた。



「俺にはあそこに混ざる勇気は無いな。」

「完全に女子しか受け入れない感じだよな。」


遠目で見守る男性陣。




ーーーーーーーーーーー




「冬の間って言っても結構長かったわよね〜」


場所は教会のリリーの部屋。
談笑をしているのはニノとP子とリリーとマリアとステラ。
いわゆるジャクリーン以外の女子達である。



「またお泊まり会したいな。」

「そうね。今回はステラちゃんもいることだし。」

『もっと楽しくなりそうだよね!』



「お泊まり会ってなんじゃ?」

「女の子だけで集まってお喋りしながら過ごすのよ。」

「楽しそうじゃのう!」

『じゃあこのメンバーでやろっか。ジャクリーンさんは…、…また断るよね。』

「永遠の愛って素敵よね〜」



『場所どうする?』

「また私の家にするか?」

「さすがにまだ夜は寒くないかしら?」

『そうだね、…ちょっと待ってて。』


そう言って礼拝堂へと向かったリリー。


「何かしら?」




ーーーーーーーーーーー




『シスター』

「ん?どうした?」

『私達またお泊まり会したいんですけど、私の部屋でやっちゃ駄目ですか?』

「いや、構わないが。」

『本当ですか?やった!ありがとうございます!』

「あぁ。」




ーーーーーーーーーーー




『皆、私の部屋でしよう!』

「あら、シスターに許可をもらってきたの?」

『うん!全然良いって。』

「楽しみじゃー!」

「私も!」

「シスターのクッキーが食べ放題だな!」


皆が喜ぶ中、マリアだけが黙ったままだった。


『どうしたのマリア?』

「何でも無いわ。ただ、あの変態が同じ建物にいるっていう事に抵抗を感じてるだけよ。」

『シスターは大丈夫だと思うよ?』

「リリーは良い子ね。」


よしよしと頭を撫でるマリアと、されるがままのリリー。


「リリー、私はシスターのクッキーが食べたいんだが。」

『うん、貰ってくる!』


そう言ってシスターの元に行くと、調度クッキーを作ったところだった。


『あの、シスター、そのクッキー少し貰えませんか?』

「あぁ、ニノがいるから言ってくるだろうと思っていた。」


そしてカゴいっぱいのクッキーを差し出した。


『わ、お見通しですね。ありがとうございます!』

「あぁ。」


シスターがリリーの頭に手を伸ばそうとしたその時、



ビュッ!!
「!」


手首すれすれの所にナイフが飛んできた。


「…マリアか。危ないだろう。リリーに当たりでもしたら…」

「あら、そんなヘマ私がするとでも思っているのかしら。」


挑発するかのようにハサミをちらつかせるマリア。


「今回はリリーに指一本触れられないと思いなさいね。」


ふふ、と笑ってその場からリリーを連れていった。



「……」



シスターは2、3回瞬きをしてから教会の外に出て行った。




ーーーーーーーーーーー




「お、どうしたんだシスター。」


マリアの視線で教会から追い出されたシスターの元に星が寄ってきた。


「星か…。いや、何でもないんだ。ただリリー達が教会でお泊まり会をするだけでな。」


「「お泊まり会!?」」
「…あ?」


いつの間にか星の隣にいた鉄人兄弟。


「僕達もお泊まり会やりたいー!」

「だとよ、シスター。あわよくば俺も行きたい。」


本音丸出しの星。


「お前は駄目だろう。」

「シスターは同じ教会にいるからリリーの寝顔とか見放題だろ!?」

「なっ…!そ、それは…、否定できないが…」
「だろ!?」

「いや、見てんのかよ。」


遠くから歩いてきたリクがツッコんだ。


「リク、リリーもニノも教会でお泊まり会するんだとよ!」

「そうなのか!?ち…、ちらっとで良いから見たい…」

「お前は前回覗いてただろうが。」

「語弊のある言い方止めろ。ニノさんを迎えに行ってただけだ。」




「ねぇねぇ、シスター!僕達もお泊まり会したい!」

「しかしマリアがな…」

「シスター、ちょっとリリーだけ呼んで。」

「リリーだけか?あぁ、分かった。」



そして連れてこられたリリーを待っていたのは、



「リリーさん!僕達もお泊まり会やりたーい!!」

「仲間外れにしないでよぅー!」



子供達の我が儘だった。



『え?…え?』

「リリーさん僕達の事嫌いなの…?」
「だから駄目なの?」

『そ、そんなこと無いよ!全然良いよ!』

「「やったー!!」」





「「(よっしゃあ!!)」」


子供には甘いリリーの特質を利用したリクと星も心の中でガッツポーズをした。


「シスター教会行こう!」

「リリーさんもー!」

『うん』




ーーーーーーーーーーー




『という事で隣の部屋に男子組がいます。』


「…リリー、鉄人兄弟に甘すぎないかしら?」

『う…、だ、だって…』

「そうよ!あんな下心ありありの男達も連れてきて…、」

『途中で会った村長も連れてきたんだけど…』

「全然良いわ!!」


村長という単語を聞いた瞬間に目が輝きだしたP子。


「リクもいるのか?」

『うん。あと星も。』

「なら一緒の部屋でも良いじゃないか。私たちはよく一緒に寝てるぞ。」

「「『!?』」」



爆弾発言を投下したニノ。



「ちょっ、ニノそれどういう事!?もっと詳しく教えて!!」

『リ、リクと一緒に寝てるの!?』

「わしもリリーとは寝たことあるけん!」


女子側はかなり盛り上がっていた。



-男子側-




「…なんか聞こえるか?星。」

「リクがどうたらこうたら〜…、って。」

「お、俺?」


壁に耳をペッタリくっつける星と、その隣で焦っているリク。


「シスター、お茶ある?」

「はい。」



「リリーさん達の部屋行こうよ!」

「うん!」



「良いなぁ、鉄人兄弟達は。」

「子供だからな…」

「「リクさん達も行こう!!」」
「「は!?」」




ーーーーーーーーーーー





「「リリーさーん!」」

「いててて!引っ張るな!!」
「鉄人兄弟力強くね!?」



『鉄雄に鉄郎!来たの?』

「リク!」

「あ、ニ、ニノさん!」

「ねぇ、村長いるの!?」


一気に賑やかになった教会。


「はぁ、まったく騒がしいわね…」

『マリア、楽しくない?』


リリーにベッタリだった鉄人兄弟はステラと遊んでいた。


「ふふ、つまらないわけじゃないわ。」


安心させるような笑顔でリリーを引き寄せたマリア。


「こんなに人を大切に思うのはリリーだけよ。」

『マリア…』


お互い笑いあっている時、



ガチャ
「リリー、夕飯を手伝って……」

『あ、シスター』


「い、いや、やはりなんでもな……」
「シスター」


マリアがゆっくり立ち上がった。


「リリー、ちょっと待っててね。」

『え?うん。』








扉の方に歩いていったマリアは、




「ゴミ以下の存在のあなたが邪魔するなんて良い度胸ね。こっちに来なさい。」



と、リリーに聞こえない声でシスターに言った。



次の日は、いつも起きるのが早いシスターが起きてこなかった。




ーーーーーー


(ねぇ、村長!きゅうりが育ったら一番最初にあげるからね!)

(リリー俺の歌聴かせてやるぜ!)

(ギター無いよ?)

(シスターどこ行ったんじゃ?)

(ニノさん!こんな所で寝たら風邪ひきますよ!)

 

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -