荒川雪合戦




辺りは一面雪景色。


荒川に本格的な冬がやって来た。




「リリーさん雪合戦しよー!」

『雪合戦?良いね、やろっか。皆も呼んでこよう。』


鉄人兄弟に誘われて住民皆で雪合戦をする事になった。




ーーーーーーーーーーー




「雪合戦?」

『はい。皆呼んでやろうと思って。シスターもどうですか?』

「そうだな。体を動かすのも良いからな。ただしリリー、お前は参加するな。」

『えー、なんでですか?』

「危険だからだ。顔にでも当たって怪我したらどうする。」

『う〜…』



そうして開催した荒川雪合戦。参加者はリク、ニノ、星、シスター、マリア、鉄人兄弟、ステラ。


『なんかすごい大事になっちゃった』


外野で見てるだけの人はリリーとシロとラストサムライ、ビリーとジャクリーン。


「ラストサムライはなんで参加しないんだ?」

「手がかじかんだら美容師をやっていけないでござる。」

「なるほどな。分かったけど少しリリーと近すぎないか?」


リリーの真横で観戦するラストサムライ。


「(あきらかに手だけが理由じゃないだろ!)」

「リク、頑張ろうな。それにしても優勝賞品とかはないのか…?」


リクを励ますニノ。いつものジャージと半ズボンの姿に、リクの貸したコートを着ている。


「…そうですね。お祭り好きだから村長とかがなんか決めそうですけど、」

「そうだな!やっぱ賞品が無くちゃ気合いが入らねぇ!」

「うわ!村長いつの間に、」


祭り事あるところにこの河童あり。
ぬるっと視界に現れた村長は早速腕を組んで賞品を考え始めた。


「この前はステラのお父さん権だったしなぁ…。うーん、じゃあ欲しい物。」

「…欲しい物?」

「1つだけ欲しい物言って、住民達がそれを何がなんでもゲットしてくる、ってのはどうだ?」

「手に入る物なんですかね…」


ここの住民の事だからマシな物を頼まないだろう。
それから村長はルールを説明しに行った。



ルール :雪玉を全力投球!!
優勝賞品:欲しい物



「雑!」




ーーーーーーーーーーー




「ていうかあのチーム統治力高すぎだろ……」



あみだくじで決めたチームは以下の通りである。


Aチーム:シスター/ステラ/鉄雄/鉄郎
Bチーム:リク/ニノ/星/マリア


「おい、チーム内でファミリーができあがってるぞ!」

「俺たち絶対負けるだろ…」

「……いや、こっちにはマリアさんがいるからな」

「そうか!だったら……………」


「?どうした星?」

「マリアが勝ったら、どんな頼み事すんだ…?」

「……」


そこで二人はハッとなった。


「「(絶対に俺達のチームを勝たせてはいけない!!)」」



二人の決意が高まった時、雪合戦は始まった。









「リクさんいくよー!」

「は、はは、よし来ーい。」


リクと星は鉄人兄弟たちと、いたって子供らしい雪合戦をしていた。



なぜなら






「シスター、あなた勝ったら絶対リリーに変なもの頼むでしょ。」

「そんな事はない。」

「さぁ、どうかしら?」


少し離れた所でシスターとマリアが一対一のバトルを繰り広げていたからだ。


そしてニノとステラは



「これが宇宙ウサギだ。」

「この目に吸い込まれてしまうんじゃな」

「あぁ、とても恐ろしい生き物だ。」




地面に絵を描いて遊んでいた。





『……』

「自由でござるな…」

『実際、リクと星は雪玉に当たってる時点でアウトだよね。』


鉄人兄弟の投げた雪玉がリクと星に軽く当たる。その近くにはニノとステラ。



『ふふ、なんか兄弟みたい。』

「あそこを除けばでござるが…」


背景には黒いオーラを出しながら高速の玉を投げ合うシスターとマリア。


『あー…』


よく見るとシスターの足元には血が滴っていた。


『あ、シ、シスター大丈夫ですか!?』

「大丈夫だ、気にするな。」

『マリアの玉当たってないのに…』

「ござる…」



マリアの口は、聞き取れはしないけども微かに動いていた。そのたびにシスターの傷口から血が溢れる。
ラストサムライは参加しなくてよかったと白い息を吐き出した。


『シスター絶対大丈夫じゃない気がするんですけど!』

「…くっ、」


遂にシスターは片膝をついてしまった。


「これで終わりよ!」


センターラインギリギリで雪玉を投げたマリア。


『あっ、シスター危ない!』


玉が当たるその時




「!?」

シスターは瞬時に避けて持っていた雪玉をマリアに当てた。



「…私が振りかぶった瞬間を狙ってた訳ね…。ほんと、嫌な男。」

「すまないな。」




「あ、おいリク、シスターが勝ったみたいだぜ。」

「ほんとだ。いつの間にか俺達も負けてたしな。」




『シスターおめでとうございます!』

「あぁ、ありがとう。」

『傷大丈夫ですか?』

「もう塞がった。心配ない。」

『ホッ…、そうですか。良かった。』



「お、シスターが勝ったのか?じゃあシスター、優勝したんだ。何か欲しい物言ってみろ!」

「シスターの欲しい物ってあまり思い付かないでござるな。」

「欲しい物…」

「リリーとか言ったらぶち殺すわよ。」

「そんな事は言わん…!リリーは物じゃない。欲しい物か…、そうだな…、リリーが作った料理が食べてみたい。」

『料理?』

「いつでも良いから作ってくれないか?」

『もちろん良いですよ!』



冬の日、シスターとリリーの周りだけ少し温かかった。



ーーーーー


(じゃあ明日1日のご飯は全部私が作りますね!)

(ああ、楽しみにしてるな。)

((羨ましい…!))

 

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