お父さん権争奪戦




「「な、なんだって!?」」



平和な河川敷に二名の声が響いた。



「リリーがステラに勝った!?」

「しかもステラがリリーをお母さんにした!?」


鉄人兄弟たちはあのあと、リクに説明しに行ったがついでに星も隣で聞いていたのだ。



「僕たちもよく聞いてないから詳しくは分からないけど…」

「ステラちゃん、リリーさんの事マリア様みたいだって…」

「「マリア!?」」



二人の脳裏には一瞬牧場が浮かんだが、すぐに聖母マリアを思い出した。



「まぁ確かにリリーさんは”聖母”マリアみたいだけど…」

「それより、リリーがお母さんならお父さんは誰だ!?」


「「「……」」」



「俺か!?」

「それは無いだろ。」

「ステラちゃんも嫌がるよ!」

「なんだと!?」





「そこはやっぱり…、シスターだろ。」





「…やっぱり?」

「でもステラちゃんはシスターのお嫁さんになりたいんだよ?」

「ってことは、ステラのお父さん兼、リリーのお婿さんのポジションは空いてるよな!?」

「まあ…、家族(ファミリー)として考えたらな。」


「僕たちは兄弟ポジションだもんね!」

「ねー!」

「兄弟っていうか舎弟だけどな。」


「って事は、この中では俺が一番近いんじゃないか!?」



「そうとは言えないでござるな…」


「!」


「この声は…、ラストサムライ!!」


「河川敷でポジション的に一番近いのはシスター…。だがそのシスターを除くならば可能性は拙者にもあるでござる!!」

「くっ…二股ザムライのくせに…!」

「その呼び名は止めるでごさる!」

「俺が一番リリーと仲良いんだよ!」

「拙者も仲は良いでござるよ!」


「「くっ…!」」



こうして、ステラのお父さんを決める戦いが始まった。



【ステラのお父さん決定戦!!】



「…って、誰だよ、こんなしょうもない大会開いたの…。」

「あ、俺俺。なんか楽しそうだったし。」

「村長!また暇を持て余して!!」

「まあまあ。それよりリク、皆を呼んできてくれ。」

「は、なんで俺が?」

「暇だろ?」

「あんたに一番言われたくない!」




ーーーーーーーーーーー




『なにこれ?』

「あぁ、村長が開いたみたいですよ。(原因はあなたですけど…)」

『ステラちゃんのお父さん…。
ああ、村長もやっぱり優しいね。ステラちゃんも家族になりたいって言ってたし、それにこんなに人が集まるなんて、皆ステラちゃん思いだなぁ…。』



「(そんな純粋な気持ちで見に来るのはあなただけですよ…!)」

『リクお疲れ様!』

「はい。まったくです。」



リクはやっと河川敷住人全員を集めてきた。
呼ばなくても自ら近づいてきた者もいるが。



「よし!皆集まったな!」


村長が先頭に立って話始めた。


「ステラはいるか?」

「ハイ!」

「今からお前がここに馴染むように保護者を決めるからな!」



住人たちがうんうんと頷いて感心していると、



「ステラ、リリーがお母さんデス!」



という言葉に誰もが反応した。



「だから残り枠は自動的に父親なんだよ。」

「ステラ、お父さんはシスターが良いデス!」


「「「!!」」」



「ス、ステラ、シスターがお父さんだったらシスターのお嫁さんにはなれないんだぞ…!」


星が素早く言った。


「!ならシスターはお父さんじゃなくて良いデス!!」

「てことでシスターは場外で見てて。」

「なんなんだいったい」

『私的にはシスターが一番しっくりくるんですけどね。』

「そ、そうか?今回は分が悪かったということか…。だが、いつか……」

「よし、んじゃあルール説明な!」


「……」




「簡単だ!どんなことでも良いから、リリーをときめかせるんだ!!」

『なんで私?』

「だってお前お母さんだろ?ステラもお前が喜ぶなら良いって言ってたし。」







「よっしゃ、やってやるぜ!!お前には負けないぜラストサムライ!」

「拙者も負けるつもりはないでござる!」

「はぁ…、リリーさんも大変だな…」

「リク、なんかこれ楽しそうだな!お前もやっていけ!」

「え」







参加者:星、ラストサムライ、村長、リクルート。


実況者:鉄人兄弟


傍観者:シスター







今、史上最大の闘いが始まろうとした…。



「なにこの終わり方。」



ーーーーー


(リリーは今までにどんなことでときめいたんだ?)

(私ですか?そうですね…、あ!この前子犬が首をかしげてて、もうすっごくキュンキュンしました!)

(……大丈夫そうだな)

 

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