小さな花にも棘がある




日曜日、ということで今日もミサが始まった。


「全員整列!!」


いつも通りのミサ、その途中で何者かがシスターの方へ走っていった。


「誰だ!号令前に動くことは許さ…」


ガバッ
「I wanted to meet sister!」








【シスター、会いたかった!】











小さな金髪の女の子がシスターに抱きついた。




「ス、ステラか!?」

「ハイ!」


『可愛い女の子…』

「シスター、その子何ですか!?」


P子のテンションが一気に上がった。


「仕方ない、紹介しよう…。彼女はステラ。私がイギリスで孤児院をしていた時の娘の一人だ。」

『孤児院…!』

「可愛いー!!」


「まったく…、本国に電話をしてくる。構ってやってくれ。」


「まっかせてシスター…って、私ダメだわ…」

『どうして?』

「この時間に水やりしないと…私の計算しつくした畑が…!」

「私も魚を捕らんといかんからなぁ…」



その時リクは思った。



「(俺にまわってくる…!)」


そして退散しようと踵をかえした瞬間、

残っていたメンバーは一斉に朝日に向かってダッシュしていき、残ったのはリクのみとなった。



「……」

「おぉリク…」

「あんたって以外と優しいわよね…!」

「……」



ーーーーーーーーーーー




逃げ遅れたリクルートは一人でステラの面倒を見ることに。



「リリーさんはどこへ…?」

「リリーなら花の水やりに行ったぞ。じゃあなリク、頑張れ。」


そう告げてニノとP子は行ってしまった。


「くっ…」



「うふふ…」

「…?何、どうしたの…」

「アッ、ゴメンなさい!お兄ちゃんがデキタみたいでうれしくッテ…。」

「(…?)君、兄弟は…」


そこでリクはハッとした。


「(この子は孤児院育ち…、天涯孤独なんじゃないか…!!)」

「ドシタノ…?」


「……よしステラ…、一緒に遊ぼうか!」

「ホント!?」

「(こんなに喜ぶなんて…、淋しかったんだろうな…)あぁ、何でもいいよ。」

「あ…アノネ…、ステラね…、お兄ちゃんト…、タイマン張リタイナァ…」



「タイ男(マン)?」

「ううン…メンツをかけた…ルール無用ノ残虐ファイトダヨ…!」



「(シスターに育てられてたんだった)」




リクがシスターの教育方を深く考えていると、ちょうどその時張本人が戻ってきた。


「なんだステラ、早速タイマンか?」

「イエス!」

「シスター、だめですよか弱い女の子にこんな遊び教えちゃ!」

「か弱い?リク、見ていなかったのか?ステラの必殺技『特攻』を。」

「特攻?」

「銃を構えた私の首を押さえることができるのなんてステラかリリーくらいのもんだぞ…」

「いや、リリーさんの場合はあなたが抱き寄せてるからでしょう。ていうかあれはただのハグじゃないですか…。そんなのステラちゃんが可愛いからでしょ!」

「…そうかな?」

「そうですよ!さーステラちゃん行くよ!やー!」


微笑みながらステラに超スローのパンチをするとそれを受け止められて、そして






ドゴッ!ガッ、ゴッ!!









空中コンボが炸裂した。




「ステラ!一般人には3コンボまでだぞ!」

「キャッ、ミステイク!」




計5hit




「う…、うぅう…!?」

「ただいまー!」


満身創痍のリクの所にニノとP子が帰ってきた。



「リク何してるの?」

「俺が聞きたい!!」

「ステラちゃん、楽しかった?」

「ウン!トッテモ楽しかったデス!」

「ステラちゃん…ここにいる間は俺をアニキだと思っていいからね。」

「リクサン…!サンキューデース!」


ステラはリクに抱きついた。


「ふふ…!(子供嫌いだったけど、こんな素直な子なら結構…)」






「アニキ面できるなァ、タイマンで勝った方じゃ。今日からわりゃあ、わしの舎弟じゃい。」






「ステラちゃーん、皆でスイカ食べよー!」

「ハーイ!」



「……幻聴…かな…?」




その一方




『シスターが外国生まれなのは知ってたけど、孤児院をしてたんだ…。それにしても、ステラちゃんかぁ…。ふふ、可愛い子だったなー!』


お店が休みでも花の水やりは毎日やっているリリー。


『よし終わった!リクのとこ行ってみよう!』




ーーーーーーーーーーー




『…リク、遊びすぎじゃない…?』

「もう何も言わないでください。」


ボロボロの姿のまま横たわっているリク。


「リリー、少し手伝ってくれるか?」

『あ、シスター、分かりました!リク、お疲れ様!』

「…ありがとうございます…。」




ーーーーー


(ステラの歓迎会を開きたいと思うんだ。)

(わぁ!良いですね!楽しみです!)


(リリーさん…、お気をつけて…。)

 

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