激闘と真意




「シスター、こんな早くに、いったい何の用でござるか?」

「ラストサムライ、お前、リリーに贈り物をしたらしいな。」

「な、何故それを…?」

「星とリクルートが見かけたらしい。」

「一番見られたくなかったコンビに…くっ、不覚…!」

「ラストサムライ、リリーの事が好きなのか?」

「………だったら、どうするでござるか…?」

「やはりか…なら敵としてお前を倒すだけだ!!」

「臨むところ!!」




早朝6時、シスターとラストサムライの激闘が始まった。
一方、そこから数m離れた所は、


「おいおい、遂に乱闘が始まったぞ!」

「どうするよ!」

「僕たち段々覗きグセがついてきたね!」
「そうだね!」

「おい、大声だすな!」

「あの二人には絶対にバレたくねぇんだから!」








「む?その声は星にリク殿か!?二人ともなぜシスターに言ったでござるか!!」

「バレたぁぁあ!!」

「い、いや〜、不可抗力っていうか、なんていうか…」

「運が悪かったんだよ!」

「ていうかラストサムライ、P子はどうした!」

「P子殿も好きだが、リリー殿を見ると同じくらい動悸が激しくなるでごさる…」

「「やっぱ二股じゃねぇか!!」」


「ねぇねぇ、シスターは何で怒ってるの?」

「そりゃあ、ラストサムライがリリーに心を込めたプレゼントをしたからな。邪魔者を排除したいんだろ。」

「?よく分かんないや…あ、そういえばこの前、星とリクもリリーさんに服をプレゼントしてたよね!」

「「!!(余計な事を!)」」

「服…だと…?」

「あの服は二人があげたのでごさるか!」

「いや、リリーが欲しがってたから…!」

「俺は星に頼まれて…」




「ラストサムライ、いったいなんの事だ。」

「先日リリー殿が見違える程オシャレをしていて、その格好がいつものTシャツではなく女性らしい洋服でござった。」




「貴様ら…女に服を贈るということの意味を知っているか…?」

「え、意味…?」


「女性に服を…?……って、あ゛!!」

「え…!いや、そう意味じゃないんだって!」

「特に深い意味はないんだ!」



「黙れ」
バンバン!!
ぎゃあぁあ!!




「兄ちゃん、分かる?」
「分かんない。」




女性に服を贈る意味は、

【その服を脱がせたい】






その後、シスターは二人をマリアの所へ連れていき、ラストサムライの事は一時休戦ということにして教会へ戻った。



『あ、おかえりなさい、シスター!』

「あぁ、ただいま。」

『朝早くからどこ行ってたんですか?』

「ちょっとな。それよりリリー。」

『はい。』

「星とリクに服をプレゼントされたんだってな。」

『え?あ、あの時シスターいなかったんでしたね。はい、貰いましたよ。凄く可愛いんです!』

「着てみてくれないか?」

『今ですか?』

「嫌なら良いんだがな。ラストサムライが絶賛していたから少し見てみたかったんだ。」

『そんな似合ってますかね…?分かりました。今着替えてきますね!』

「あぁ。待ってる。」




-5分後-



『シスター入りますね?』

「ん?着替えたのか。入ってこい。」

『ど、どうでしょう…?改めて人に見せるとなると凄く恥ずかしいですけど…』

「…よく似合っている。皆が誉めるだけあるな。」

『あ、あは、は。恥ずかしいですよ…』

「だが、どうして服をもらったんだ?」

『私の我が儘なんですけどね…私の持ってた服とかも全部燃えちゃって、今になって感傷に浸ってたら星がプレゼントしてくれたんです。』

「燃えた…?」

『あ、言ったこと無かったでしたっけ。私の家、火事になっちゃって、それで河川敷に来たんです。』

「そうだったのか…1年以上も過ごしてきたのに初めて知ったな…。」

『あまりこういう話ってしないですからね。』

「悪い事を聞いたな…」

『ぜ、全然良いですよ!そんな今さらだし、私はもう気にしてないですから。それに今はここで暮らす方が楽しいです!』

「!…そうか。良かった。」


シスターはリリーの頭を軽く撫でた。


「よし、明日のミサにむけてクッキーを作ってくる。」

『私も手伝います!』

「あぁ、ありがとう。」


その後、教会に遊びに来た村長はいつもより上機嫌なシスターに迎えられた。




ーーーーー


(服のプレゼントねぇ…。いったい何を考えてたのかしら。)

(いやだからほんと何にも深い意味はなくて…)

(気安く喋らないでくれるかしら?空気が穢れるわ。)

 

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