愛を込めて花束を





「リリー殿、頼みたい事があるのだが…」


『あれ、デジャブだ。』



ーーーーーーーーーーー




前にP子への花を選んであげてから、ちょくちょくラストサムライの相談を受けるリリー。


『今日は相談じゃないんだね。』


すっかり仲良くなってしまった。


「うむ、今日は小さな花束を作ってもらいに来たのだ…!」

『P子への花?』

「いや、違う人に向けてなのだが…」

『違う人?誰?』

「それは言えないでござる。」

『まぁ、プライバシーに関わるしあんまり聞かないよ。それで?どういう花が良い?』

「うむ…リリー殿の好きな花でいいでござる。」

『私の好きな花…?人にあげるのに私の好みで良いの?』

「うむ!リリー殿が選んでくれたのならきっと喜んでくれるでござる!」

『そう?じゃあ、花選んで来るね…?』




ーーーーーーーーーーー




-10分後-


『花束作ったよ。私の好みだから女の子らしくなっちゃったけど。』


きっとP子以外に花束をあげるというのなら村長くらいだろう。


「それで良いでござる!感謝いたす!」

『どういたしまして!その人が喜んでくれると良いけど。』

「拙者もそう思うでござる…。ならば…、リリー殿」

『え?あ、はい!』

「受け取ってくだされ」


そうして差し出されたのはさっき自分が作った花束。


『え?え?』

「日頃の感謝の気持ちでござる。いつも相談にのってくれる…リリー殿にお礼をしたくて、その…受け取ってもらえるだろうか…?」

『あ…、喜んで!私、こんなサプライズ初めて。とっても嬉しい。ありがとう、ラストサムライ!』


笑顔でお礼を言った。
そう言えば荒川に来てからは営業スマイルがすっかり無くなった。


「昨日星たちから贈り物をされていたリリー殿を見て、拙者は何もあげれるものが無かった故、受け取ってもらえるかハラハラしていたでござるよ。」

『本当に嬉しいよありがとう!また相談のるからね!』

「それは嬉しいでござるな。」


花屋の中はとても甘い雰囲気に溢れていた。






その外では



「(おいなんだアレ!ラストサムライってP子の事が好きなんじゃなかったのかよ!!)」

「(俺もそう思ってたけど…)」

「(でもリリーさんへのお礼って言ってたよ?)」

「(甘ぇな…そう言っといてさりげなくプレゼントを渡すなんて惚れてる男のやることだぜ!)」

「(…いったん戻って整理しに行こう。)」




ーーーーーーーーーーー





「はい、というわけでラストサムライの心理についてここで解明していこうと思う。」



場所を青空教室に移したリクと星と鉄人兄弟。


「ここらで一発ラストサムライにヤキいれようぜ」

「却下だ!どこの不良だ!!」


ゴホンッ
「えー、まず、ラストサムライはP子が好きだった。」

「「うん、うん。」」

「しかし今朝、ラストサムライがサプライズを仕掛け、リリーさんにプレゼントを渡した。」

「「はい。」」

「ここで1つ目の謎!」
バン!!


【ラストサムライはリリーさんの事をどう思っているのか】


ホワイトボードに議題を書きつづって、思いきりボードを叩いた。


「はい!」

「なんだ星!」

「ラストサムライくんは絶対リリーちゃんの事が好きだと思いまーす。」

「でもラストサムライはP子ちゃんの事が好きなのになんでリリーさんを好きになるの?」

「ふっ…鉄雄よ…それが恋の恐ろしい所なのさ…!」

「今のお前かなりウザさが極まってるわ」



【結論:ラストサムライは二股をかけた】




「じゃあ、次の議題だ!」



バン!!
【リリーさんは誰が好きなのか】



「これは…」

「リリーさんはいつも僕たちの事が好きって言ってくれるよ!」

「うん!僕たちもリリーさんの事好きだしね!」

「そんなの俺だってそうだ!」

「いや、今はお前たちの気持ちの大きさじゃなくてリリーさんの思いについて考えてんだよ。」

「リリーさんはシスターの事が好きなんじゃない?」
「ちっがぁあああう!認めない!!」


星はブンブンと頭を横に振り乱した。


「まだそうとは決まってないだろ!?落ち着けようるさいな!!」

「「リリーさんは河川敷の皆が好きなんだよ!」」


「「…」」


「なんかまともな事言われた…」

「そ、そうだな…!そうだよな!もちろんその中に俺も入ってるよな!!」

「お前ってほんと、リリーさんの事になると弱いな。」



【結論:リリーさんは皆のオアシス】



「議題と結論が少しかけ離れたけど…まぁいいか…」







「お前たち、そんな所で何をしているんだ?」





バァン!!




リクは瞬時にホワイトボードを蹴り倒した。



「シ、シシ、シスター…!」

「リクルート、何をしていたんだ?ボードが倒れているぞ。」

「あ、あぁ!これは良いんです!ちょっ、ストップ!!」


シスターは特に何も考えないでボードを起こした。


段々と顔が青くなっていくリクと星。
何も分かっていないような鉄人兄弟たち。


「いったい何の授業を……」


ホワイトボードを凝視するシスター。



【ラストサムライはリリーさんの事をどう思っているのか】

【結論:ラストサムライは二股をかけた】

【リリーさんは誰が好きなのか】

【結論:リリーさんは皆のオアシス】



「………」

「「(俺たちも終わったけど、ラストサムライも確実に終わったー!!)」」

「これはどういうことだ?」

「いやー、ただのプレゼントですよ。きっと。はは。」

「そうそう」




「ラストサムライはリリーに何かをプレゼントしたのか」

「「(しまった!!)」」

「そうか…ラストサムライが…」

「シスター目がうつろ!」

「…よし、決着をつけてくる。」

「いや、あれは一応お礼だし、シスターの言う決着ってのはただの散髪じゃないですか。」

「黙れ。とにかく明日ラストサムライの所に確認に行く。」

「(頑張れ、ラストサムライ。)」





-その日の夜-




「リリー」

『どうしたんですか?』

「今朝、ラストサムライから何か貰ったのか?」

『どうして知ってるんですか?確かに貰いましたよ。』

「あぁ、星とリクが見かけたらしくてな。」

『そうだったんですか!声かけてくれても良かったのに…いつも相談にのってるからって、花束貰ったんですよ。』

「そうか…やはり…」

『?どうしたんですか?』

「何でもない。気にするな。そろそろ寝よう、おやすみ。」

『はい、おやすみなさい。』




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(俺は何も関係ねぇよな!?)

(俺だって関係無いわ!巻き込むなよ!!)

(何に巻き込むって言うんだよ!)

 

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