お泊まり翌日の朝




日曜日。朝。


この日はミサで珍しいことが起きた。



「リリーがいねぇ!ニノもいねぇ!シスター!リリーはどうした!」

「昨日マリアたちとお泊まり会をすると出ていった後、まだ帰っていない。」

「お泊まり会!?そう言えばP子もいねぇな。マリアが来ないのはいつもの事だが…」

「リクも来ていない」

「あ!あいつニノんち行ってんのか!?」

「何だと!?私以外の男にリリーの寝顔を見せるわけには行かない!!」

「って、いつも見てんのかよ!俺も見たい!!」

「駄目だ!」





その頃、リクは…



「(ニノさんが来ないと思ったら…、すごい事になってる…)」


そっとカーテンの中を覗くと、マリアとP子とリリーがベッドの上で寄り添って寝ていた。たまにガタッと動く引き出しの中にはニノがいるのだろう。


「なんだこれ…、お泊まり会?皆起きそうにないし、どうしたら…」


『ん…』


「あ、リリーさん起きた!」


『ん…?今何時…?え!もう11時!?皆起きて!』



「(さすがリリーさん。やっぱり規則正しい生活をしているんだな…)」


1人感動するリク。
しかし次の瞬間、固まる事となった。

リリーが上にかかっていた布団を剥いで格好が丸見えになったのだ。


「(リリーさん!裾が!襟元が!格好がえらいことになってますよ!)」


もちろん普段着では無く、寝る時の格好である。白のワンピースの裾が捲れて、襟元は肩からずり落ちそうになっている。
リクは必死に目を向けないようにした。


『マリア、起きて。もう11時だよ!今日はミサがあるのに…!』

「ん…、リリー、もう起きたの…?」

『もうじゃないよ。11時だよ?』

「あんな似非聖職者がいる所なんて行く必要ないわよ…」

『え…?』

「(……)」


寝起きのマリアは機嫌が悪かった。


「リリー…、私一度あなたの泣き顔が見たかったの…」

『え、きゃあ!』


そうしてマリアはリリーを押し倒して、マウントポジションをとった。


「(わーーーー!!!!!!!!)」


リクは今完全に目を閉じた。

なぜなら、マリアがリリーの上に乗っかった際に、リリーのワンピースが捲れてあと少しで下着が見えてしまう状態になったからだ。


「(俺は見ない。絶対に見ない!)」


『マリア、寝ぼけてる…?』

「あら、寝ぼけてなんかいないわ…」

『よ…、よけて…?』

「ふふ、そんな顔で言われると余計苛めたくなるだけよ…?」

「(リリーさん頑張って!俺にはどうすることもできない!!)」


役にたたないチキンボーイ、リクであった。



「ふふ…」
『ひぃ!』


目を瞑っているため、音声しか聞くことのできないリク。


「(ニノさんかP子!早く起きてあげて!)」


リクは必死にリリーの救出を祈った。



その時




「リク、そこにリリーはいるのか?」

「おい!リク、てめぇ覗いてたのか!?ちょっとそこ変われ!!」


ミサを終わらせたシスターと星がやって来た。


「最後のセリフおかしいだろ!!それと、今は見るな!」

「リク、これは覗きではない。近状確認だ。」

「なんのだ!!ちょっ、ほんとに待て!!」




そうして二人の目線の先には、





リリーの生足。


ブシャア!!
「ブハ!!」


盛大に傷口から血を吹き出したシスターと、盛大に鼻血を吹き出した星。


「シスターは傷口からだけじゃないでしょう。鼻血混じってますよ。」


「リク!なんだあれは!国の最終兵器か!?」

「あなたはまず落ち着いて、そして顔中の血を拭いてください。」

「あと3p動いてくれたらヤバイじゃねぇか!!」

「くれたらって、明らかに動いて欲しそうだな。」








「あら…?外からうるさい犬の鳴き声が聞こえるわね…」







「「「…」」」




『え…、皆いるの…?』


マリアに何をされたのか、リリーは顔を真っ赤にして目に涙を浮かべていた。



「リリー、マリアに何をされたんだ?怖かっただろう。こっちにおいで。」

「なんだその豹変ぶり」

『うぅ…、シスター…』


リリーは素直にシスターの元へ寄って行った。


「っ、よしよし、もう大丈夫だ。」


そう言ってシスターはリリーを優しく抱きしめた。


「下心ありありじゃないですか。だから早く、せめて鼻血を拭いてください。」

「リリー大丈夫か?怖いよな、でももう安心しろ!俺がついてるからな!!」

『う?…うん。』

「「今なら死んでもいい!!」」

「いや、よくないだろ!」



そんなリクも、リリーの赤面+涙目+甘えた という最強のスキルにやられそうになった。






「そんなに死にたいなら今すぐ殺してあげるわよ」






完全に空気となっていたマリア。ただリリーが可愛いから眺めていたのもあるが。



『マリア…』

「なぁに?リリー」



『マリア…、私の事嫌い…、って、言っ…』




「「「!」」」


「リリー…!そんな涙目で言われてもぞくぞくするだけだけど、本気で泣かれると困っちゃうわ…。ごめんなさい、リリー。嫌いだなんて嘘よ。」

『マリア…本当…?』

「えぇ、だからこっちにいらっしゃい。」

『うん』

「む…」


シスターからマリアの腕の中に移動したリリー。


「ふふ、ごめんねリリー。私あなたの事大好きよ。」

『私もマリアの事大好き!』


マリアは抱きしめる力を強めてから、リリーに見えないように後ろの3人に勝ち誇ったような顔をしてみせた。



「「「くっ!!」」」



これが今回の3人へのお仕置き。



「(リリーに免じてこれくらいで許してあげる)」



ーーーーー


(ふぁ〜あ、寝過ごしちゃった…。あら?マリアとリリーがいない…)

(おはようP子。リリーたちはもう起きたのか?)

(ハッ!きっと二人とも仕事に出掛けたのね!私も二人を見習わなくちゃ!!)

(そうだな!私も荒川の主を捕りに行くか!!)



(カーテンの向こう側はなんて平和なんだ…)

 

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